演劇人祭@NHK ETV

録画予約をするのをすっかり忘れて「ア!」と思い出してテレビをつけたら、ちょうど「時雨西行」が始まるところ。ラッキー!と思ったら、地方が鳥羽屋里長さんで、「なんか、久しぶりだな〜」と。このところ、歌舞伎に行っても、里長さんの立てには遭遇できなかったので。で、ワキの方のお声に聞き覚えがあるなぁと思ったら、吉住小良次さん。お元気そうでよかった、よかった。たぶん、生じゃなくても10年ぶりくらいかなぁ、お声を聞くのも。歌舞伎を第1期マイブームの頃、よく里長さんの脇とかトメに入っていらした方ですね。その頃は、長唄のお稽古もしていたので、研精会もよく聞きに行った(わたしの師匠は研精会系じゃなかったのだけれど)。お芝居の長唄とはまた別の長唄の魅力を、研精会では教えていただいた。わたしの四世吉住小三郎・稀音家六四郎好きの原点は、この辺にある。「時雨西行」というのも、長唄の中では好きな曲。レコードとか、随分、聞いたなぁ・・・。
三社祭」は、素踊り。地方が家元っていうのが、ちょっと辛いけど、勘三郎三津五郎コンビといえば、今、多分、最強コンビでしょう、この踊りに関しては。後見は、もちろん小山三さん。もう、この方が舞台にいらっしゃるだけで、あたしゃ、嬉しいです、はい。
素踊りというのは、本当に難しいんだなぁというのを、このお二人の踊りを見ながら思った。簡単な装置しかない舞台で、衣装がないから、その曲の雰囲気、役柄、といったすべてのことを自分の踊りだけで伝えなければならないのだから。そして、当然のことながら、踊りの技術そのものが、全部さらけだされてしまう。この二人の踊りの息がぴったりあっている部分と、それぞれの特徴がいっぺんに見られて、非常にいいものを見せていただいた。今まであまり意識していなかったのだが、三津五郎さん、やっぱり上手いなぁ。なぜ、意識していなかったのかというと、この人は、踊りは上手いと若い頃から思っていたから。ある意味、踊りが上手いのは当然のこと、っていうことに私の中でなっていたのだった。役者としても、マイ歌舞伎ブーム第2期では、随分、昔と違う印象を受けているので、もうちょっといろんな役を拝見してみようと思う。