立川談春独演会@ヤマハホール

ヤマハホールに来たのは、いつ以来だろう? 内装は随分綺麗になったような気がする。ただし、座席と座席の間は狭いし、トイレまわりの動線はよくないし、やっぱり昔の設計だな。行きは、階段で4階まであがりましたよ。
今日の独演会はネタ出し。

  • 「寝床」

仲入り

  • 「三軒長屋」

「寝床」は、談春師で聴くのは、初めて。というか、意外にこのネタとはご縁が薄いらしく、記憶に残っているのは、志ん輔師匠が落語研究会でなさったのと、OAで拝見した権さまの「素人義太夫」くらいだなぁ。マクラで小さん師匠のエピソードが登場。このところ、小さん師匠率高いなぁ。今日のも”ちょっといい話”だったなぁ。そして、この話をそばで聞いていた花緑師がハラハラしていらした、というのがまた、面白い。やっぱり、小さん師匠にとって、談春師(や志らく師)は”かわいい孫弟子”だったんじゃないだろうか?
談春師の「寝床」は、旦那様が義太夫を語るところの実演はなし。長屋とお店の人々のリアクションだけで、その”スゴさ”を想像させるという演じ方だった。そう、談春師が唄うってこと、あんまりない気がする。とはいえ、「野ざらし」の「鐘がボンと鳴りゃよ〜」の印象は強烈だけど(笑)。「庖丁」でも、ほとんど唄わないし。「らくだ」の「かんかんのう」は、3年位前に伺った時は唄っていらしたような気がするけど・・・。そうそう、「三軒長屋」に入る前に、最近、「寝床」の旦那様の気持がわかるようになった、という話をされていた。旦那の義太夫を聞かせないのに、長屋の人たち・お店の者が欠席の理由をいろいろ並べていくと、まぁ、よくこれだけの言い訳を考えたもんだという、それぞれの理由がまた、よくできている。
「三軒長屋」は、何度も聴いているネタ。やはり、やっと帰って来た頭に向かって、姐さんがポンポンと状況説明するところの、セリフの切れがいいなぁ。談春師の場合、まずこの姐さんが”シブいかっこいい女”として描かれるのだけれど、さもありなん、と思わせるに充分。そして、帰って来た頭がまた、かっこいい。「品川の男嫌いで有名な、一番の売れっ子が、頭にだけはグニャグニャになっちゃって、あれじゃあ3日、4日と居つづけすることになっちゃう」とか「あっしのような下っ端にも、優しい声をかけて下さって」とか、フっておいて、帰って来たところで、姐さんに「あんたがいない間に、大変なことになってるんだよ、うちは」と店だてのことを聞くと、すっと羽織を着て、楠先生の家に出かけていく。血気盛んな若い者の上に立つ貫禄と、頭の回転の良さ、そしてちょっとした茶目っけが、短い登場時間の中でクッキリと描かれる。といった塩梅で、その他の人々(お妾さん、その女中、伊勢勘の旦那、楠先生・・・)も、それぞれの人となりが浮かんで来る。脇に実力派俳優を贅沢に配役した芝居や映画を見ているような感じ、とでも言えばいいのかな。
本日も、談春な方々をお見かけ。ホリイ氏、福田氏、その他追っかけ隊の皆様勢揃いでありました。
ただいまのホリイ度=6/12