『おもしろ砂絵』と『名手名言』

実家の往復で、『おもしろ砂絵』と『名手名言』を読了。
『おもしろ砂絵』には、タイトルを落語から借りた「はてなの茶碗」と、歌舞伎の外題にちなんだ「いもり酒」、若き日の九代目團十郎(まだ、権十郎時代)がからんでくる「楽屋新道」と、うれしい作品があれこれ。
『名手名言』は、元NHKアナウンサーの山川静夫さんのエッセイ集。さまざまな分野の名手が残した名言を紹介するという趣向。噺家・歌舞伎役者・俳優・伝統工芸の職人さんといった人たちに、著者が会って聞いた名言を、その人の想い出とともにつづっている。戸板先生の「ちょっといい話」をもっと長くしたような感じ、というとわかりやすいでしょうかね・・・。
その中で、特に印象に残っているのが、一番最初に出て来る「稽古は花鳥風月にあり」で紹介されている、竹本義太夫が残した言葉を、豊竹山城少掾が揮毫し、竹本綱大夫が自宅の居間に飾っていた色紙の言葉「口伝は師匠に在り、稽古は花鳥風月に在り」という言葉。そして、志寿太夫さんの「本当に清元が好きなんだ」桐竹紋十郎さんの「そない喰ったらモノ忘れるわ」。
わたしは、やっぱり芸談が好きなんだな・・・。

名手名言 (文春文庫)

名手名言 (文春文庫)