シンクロ!

先日、職場の資料室でみつけた、『三味線芸談』という本を読んでいたら「明治のはじめ頃まで、日本人は芝居をみたり音楽を聴いたりしても、拍手はしなかった。それは、日本の音楽や芝居・舞踊のベースになっている間の中に、バラバラの拍手が入ることで、間を乱すことになるからだ。拍手をするようになったのは、明治維新で西洋の音楽や演劇が輸入され、幅をきかせるようになったからだ」という意味のことが書かれていて、「へぇ、そうなんだ」と思った(それ以前は、拍手のかわりに扇子を開いて仰いだり、手を上げるといったことで、賞賛を表現したのだ、と平山は書いている)。
で、今日、ふと読みかけのままになっていた、杉本秀太郎さんの『半日半夜』を久しぶりに外出のお供に持って出て、にぎわい座からの帰りの電車の中で読んでいたら、杉本さんが「クラシックの音楽会での、拍手がいかに演奏の余韻を乱す、余計なものか」という意味のことを書いていらっしゃって、西洋でも、その昔は拍手などしなかったという具体的な記録を挙げていらっしゃる。
不思議なシンクロに、ちょっとびっくりした。

半日半夜 杉本秀太郎エッセイ集 (講談社文芸文庫)

半日半夜 杉本秀太郎エッセイ集 (講談社文芸文庫)