『歌右衛門合せ鏡』

最初に紹介されていた、歌右衛門さんの葬儀の時のエピソード(遺骨を持って、福助・松江(当時)兄弟が歌舞伎座に寄ったら、舞台に道成寺の道具が飾られていて、3階から大向うさんが声をかけてくれた)を読んで、もう、ウルウル。世代的に、決して間に合ったとはいえないのだけれど、やはり、歌右衛門さんに間に合ったということは、わたしの歌舞伎体験の中でも大きなことの一つ。「娘道成寺」は拝見できなかったけれど、「先代萩」のまま炊きや「将門」の墨染、「金閣寺」の雪責め・・・。当時はよくわからないまま、とにかく拝見していたわけだけれど、今になってみると”本物”を見せていただいた、というのは、貴重な体験だったなぁと思う。
いろんな人の証言を丹念に集めて、1冊にまとめた関容子さんのお仕事にも感謝。

歌右衛門合せ鏡

歌右衛門合せ鏡