『武士道シックスティーン』

いやはや、面白かったです。巻末の著者略歴を拝見すると、この作品は、人が一人も死なない初の青春小説だそうです。香織も早苗も、ちょっと風変わりなところのある少女ですが、二人ともある種の壁にぶつかって、それを乗り越えていきます。その過程を剣道を通して描いているのですが、単なるさわやか青春モノではなくて、大人になってなくちゃいかんわたくしも、いろんなことを考えさせられました。
香織の兄と早苗の父が、奇しくも言いまわしは異なりますが、同じことを悩む彼女たちに投げかけます、「それが、好きなことなんだったら続ければいい。好きじゃないことなんだったら、やめればいい。自分が打込めるだけの、好きなことを持っているのは、それだけで幸せなこと」と。
このこと、ズシーンと胸に響きました。
いい歳して、未だにあれこれ思い悩むのは、どうなんだ?なんて思う今日この頃ですが、実はこれって、人として当たり前の事なんだなぁ。ってことは、本を読む事と芝居を見ることは、少なくとも続ければいいんだなぁ、なんて思ったのでした。

武士道シックスティーン

武士道シックスティーン

さて、結末はかなり意外なことになっていたわけですが、この続きがまた、気になるなぁ・・・。こういう小説は、文庫化されてから読もうと思っていたのですが、きっと、勝っちゃうんだろうな、続編も・・・。まぁ、好きなんだからしょうがないか(笑)

ちなみに。カバーデザインが、ちょっと脱力系イラストだったりして、なかなかよいです。そして造本にも、ちょっとしたこだわりが・・・。最初気づかなくても、読んでいると「オ!」っとなりますよ(笑)。とりあえず、本屋さんでみてみてください。