『幕末あどれさん』

途中、いろんな本が割り込んできて、予想外に読了までに時間がかかってしまった。が。決して、つまらなかったという訳ではない。宗八郎と源之助。二人の旗本の次男坊のそれぞれの生き方を、幕末という激動の時代の中に描いているだけに、非常に面白かった。特に、宗八郎は、歌舞伎の作者部屋に入り、後の黙阿弥(この作中では新七)の弟子として、柝を打たせてもらえるまでになるわけで、当時の名優・小團次、五代目菊五郎、九代目團十郎宗十郎といった人々も話の筋にからんでくるのだから、これが、面白くないわけはない。他方、侍の世界で生きようとする源之助の方も、剣術をあきらめ銃術を伝習所で習い、会津戦争に従軍するという、時代の真っ只中を生きるのだし。
わたし自身が歌舞伎により興味を持っているから、宗八郎の方に注目を集めてしまうが、大河ドラマ篤姫」の時代ともちょうどかぶっていて(毎回きちんと見る熱心な視聴者では、決してないが・・・)、ある意味タイムリーであった。
読了して、河竹登志夫さんの『作者の家』や『黙阿弥』を読まなくちゃなぁ〜と思った。で、本棚をチェックするとちゃんとわかりやすいところに挿してあるので、近々読もうと思う。

幕末あどれさん (PHP文庫)

幕末あどれさん (PHP文庫)

黙阿弥 (文春文庫)

黙阿弥 (文春文庫)