寿初春大歌舞伎@歌舞伎座

今月2度目の昼夜通し。そもそもは昼の部だけのつもりだったのが、たまたま、夜の部のわたし好みの席が直前にWEBに出たので、ついポチっと(笑)。
やっぱり「正月から俊寛はなぁ・・・」と。「十六夜清心」では、梅枝くんがぐんとよくなっていて、花道と本舞台での清心とのわたりセリフのところなんかも、とてもいい感じだった。そして「鷺娘」は、やっぱりのThis is the 玉三郎!という世界に、客席が染まりきっていて、いやはやびっくり。衣裳を変えるために下手に引っ込んだとたん、それまでシーンと息をつめ、水を打ったように静まり返っていた場内がいっせいに息を吹き返した感じ。こんなのは初めてかも。直吉さんのお唄も勝国さんのお三味線も、囃子もバッチリだったし、もう一度昼の部を見てよかったと思った一幕。
夜は「対面」をもう一度じっくりと。吉右衛門さんが調子をやっちゃったらしいというウワサを聞いていたのだけれど、だいぶ回復されたようで、張った調子を聞かせてくださった。とても60代とは思えない若々しさで(菊五郎さんも!)、これが歌舞伎の醍醐味のひとつだわねぇと。
「鏡獅子」は、下で見るのは今月初めて。前シテ・弥生が可愛い! 吉之丞さんがお元気そうでよかったよかった。今回は勘三郎さんがとてもきちんと丁寧に踊っているなぁ〜と感じる。後は、最初の花道の出入りのところが、さすがに前回(2007年1月歌舞伎座)に比べると勢いに物足らなさはあるものの、獅子の踊りが、これまたきちんとした踊りで、力任せにならないところは、今回、よかったところだなと感じた。ちょっと毛を振る回数が今までに比べると多かったかな? あと、(たしか)千之助ちゃんの鈴太鼓のうちの1個が途中で壊れて(片方の皮が破れた?)中の玉が舞台上にバラバラっと落ちて、びっくり。千之助ちゃんも一瞬止まりそうになりながら、そのまま踊り続けて、その間に後見さんが袖から別の鈴太鼓を持ってきて取り替えた。8歳でもすでに役者根性が座ってるなぁ〜!と感動した。後シテの出の前に後見さんが拾い忘れがないか、もう一度舞台の上を点検していたのも、なんか印象的であった・・・。
「鰯売」。何度見ても、玉三郎さんの美しさと、お芝居全体に漂うほのぼのした空気が、お正月の打ち出しにふさわしくて、愉しかった。最後の花道の引っ込みのところ、玉三郎さんが愛らしくて昼の「鷺」とはまったく別の一面を見せてもらった。