『やんごとなき読者』
もしも、エリザベス女王が読書に目覚めたら?というお話。英国王室や海外文学に詳しければ、もっと楽しめるんだろうなぁ〜と思いつつ、そういう素養がなくても、女王の読書にのめり込んで行く様子、そして行き着いたところには、いろいろと共感できる。
女王は、次第に「もっと早くに読んでいれば!」というあれやこれやを思い出したりもしていて、これって誰もが思うことなのよねぇ・・・なんてね。
英国の上流階級では、「あまり知的でない」ということが美徳なのだと、新井潤美さんの解説に書かれている。なるほど、だから彼女のまわりの人たちは、彼女が読書にハマっていくことを、良しとしないわけね、と納得。
そんな英国の上流階級のさらに上の、まさに雲上人である女王陛下は、読書についてこんなことを言う。
本は思いもかけなかったかたちで、私の人生を豊かにしてくれました。でも本がしてくれるのはそこまでで、(以下略)
P.142
とか
ご存じのように、本というものが行動のきっかけになることはめったにありません。たいていは、ひょっとすると自分でも気づかないうちにしていた決意に裏付けを与えるだけなのです。本に向かうのは自分の確信を裏づけるためです。本はいわばけりをつけてくれるのです
P.146
とか。
著者は、英国の著名な劇作家とのことで、なるほど、いろんな場面が目の前に浮かんでくるのは、そのせいか!と、納得。
新井さんの解説で引き合いに出されていた「ジーヴスもの」っていうのにも、ちょっと興味が沸いて来た。
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