『志ん生の右手』

矢野誠一さんの、ずっと読みかけのまま放置していた本を再開して、読了。特に目次をチェックしたとか、そういうわけでもないのだけれど、不思議と最近読んだ本や興味を持ったこととつながってくるんだよなぁ。本に呼ばれた感じ、とでもいえばいいのかな？
解説が小三治師匠で、それを読んで、巻頭のサブタイトルにもなっている「落語は物語を捨てられるか」を再読。
最初は落語についての文章が並んでいるが、それ以外の演劇（新劇や商業演劇）やレビュー、講談、浪速節、演芸などについてのあれこれも。河原崎長一郎と前進座の問題は、もっと違う問題が原因なのかと思っていたので、意外だった。せっかくご本人が話をするお気持ちになっていらしたのに、その目前に亡くなられてしまったのは、残念だけれど、真相はそのまま知られずにおくのがいい、という天の思し召しなのかもしれない、とも。

志ん生の右手―落語は物語を捨てられるか (河出文庫)