大手町座第3回@日経ホール

田中兄弟に母上が特別出演、さらにゲストが亀ちゃん!ということで、チケットとりましたよ、大手町座。
日経ホールは、これで2度目かな? 前回は兄上・広忠さんプロデュースの能楽囃子の演奏会でした。
今回は、まず舞台に大太鼓がまん真ん中にデーンと置かれていて、一番太鼓から。傳左衛門さんがしずしずと下手袖から歩いてこられ、熨斗のかかった長撥から熨斗を外して、おもむろに宙に文字を書かれます(「大入叶」)。後でご本人が語ったところによりますと、これを「うらがき」というのだそうです。
寄席の一番太鼓はよく耳にしますが、お芝居の一番太鼓は滅多に聞くチャンスがないので、耳がダンボでした。
一旦、緞帳が下りてセットチェンジしているらしい音がかすかに聞こえ、再度緞帳があがると、大太鼓の周りに緋毛氈と下手側には締太鼓2つ、銅鑼、小鼓がスタンバイされており、上手側は毛氈のみ。
しばらくは、真ん中の大太鼓をはさんで下手に伝左衛門さん、上手に傳次郎さんという配置でお話が進みます。
黒御簾音楽の超入門編といった感じのお話で、このお話は、毎回新たな「へぇ〜」があるので、楽しいです。
大太鼓のみで、水音、波音、風音、雪音(本当は雪おろしというそうです)、などを演奏しながら説明があり、傅九郎さんと福原寛さん、三味線お二人を呼び込んで、雪の合方とか立ち回りの合方などを。そして最後にツケでつかう符丁で打合せ?をしてそれを演奏するというパフォーマンスがありました。半分ぐらいはわかったのですが、「あ、この合方はそういう名前だったのね!」というのがあって、音は知っていて、使われる場面もだいたいわかるけれど、という合方(かなりポピュラーなものしか演奏されてませんでした)の名前が確認できました。
緞帳が下りて、20分の休憩。ふと前方を見ると、忠雄先生のお姿が。佐太郎先生が出られるし、前回の大手町座の時は佐太郎先生や田中ご兄弟も客席にいらしていたので、今回は忠雄先生が客席にいらっしゃるのですねぇ。
後半は、長唄羅生門」と「綱館」。「綱館」はかなりポピュラーな曲で、演奏会などでもよく出る曲ですが、「羅生門」は滅多に出ない曲。前に一度、どこかの演奏会で聞いたことがあるような気もしますが、記憶が定かではありません。普通は、それぞれ独立した曲としてしか聞かないので、続けて聞くと「あー、綱館の前にこういう物語があるんだよねぇ」というのを改めて認識しました。「羅生門」は、綱役の愛之助さんが活躍し、亀ちゃんは最後の方でちょっと出てきて終わりでしたが、「綱館」は今度は亀ちゃん大活躍! 切り落とされた腕を取り返しに来るわけですから、左手をきものの懐の中に入れたままで踊っていらっしゃいました。
おばさんのところでは、お年寄りっぽく、鬼神になってからは凄みがあって、その性根の変化を素踊りでちゃんと表現するのは、さすが亀ちゃん!と思いました。
長唄が三丁三枚だったのですが、田中家の囃子はボリュームがあるので、できれば四丁四枚ぐらいは並んでほしかった…(囃子がメインの会とはいえ、綱館だったらそのぐらいは並んだほうが、いいのではないかと)。
佐太郎先生が「羅生門」では太鼓を打たれ、「綱館」の脇鼓、傳次郎さんと交代されていましたが、やはり佐太郎先生の太鼓はすばらしい! 傳次郎さんの太鼓も好きですが、佐太郎先生の太鼓は「まだまだあなたには負けないわ!」っていう感じでした(笑)。
「綱館」も通常より、脇鼓の打つ量が多かったような気がします(あくまでも、印象なので、あしからず)。鼓は、もうちょっと家元の鼓が聞きたかったかも・・・。
さすがプロデューサー・傳次郎さんの考えたプログラム、楽しうございました。