まずは出来たてを味わった『古本のことしか頭になかった』

今朝から読み始めた『古本のことしか頭になかった』は、帰宅する前に最後のページまでたどりついてしまった。
もう、ぜんぜん知らない人名や書名がたくさん出て来て、それが山本さんの筆にかかると、どれも魅力的で、読んでみたくなる。
なんとなく気になって買うだけ買ってそのままになっていた本も、いくつか登場した。「こういうことがあるから、やっぱり気になった本は、手元においておきたくなるんだよな」と、積ん読の口実を与えていただいたようなものだ。すぐには読まない(あるいは読めない)だろうけれど気になった本を買うのは、自分の手元でそれらの本を”熟成”させるためなのだ。
山本さんもこの本の中で

書物はしばらく寝かせておくと、買ったときとはまたちがった姿を見せてくれることがある。
平成二十年三月 P.130

と書いている。
気になって買ったけれど、すぐに読み始める気分ではない本が、何かの拍子に、急に読みたくなることが、よくある。
最近読んだ本の中にも、そういう本が何冊かある。
そういう読み方をする場合、だいたい、他の本を探しているうちに、ひょっこり目の前に現れる。”偶然、目が合う”という感じ。
食べ物には”食べ頃”があるように、本にも”読み頃”があるのではないかな?
新鮮なうちに読んだ方が美味しい本もあれば、数日経ってからの方が楽しめる本、じっくり熟成させておくべき本もあるのだ。
山本さんの『古本のことしか頭になかった』は、とりあえずは新鮮なうちに読みたかった本なのだけれど、読み終えてみると、しばらく寝かせて、また読みたくなる本だった。噛めば噛むほど味が出そうな本だ。