我が家でおひな様を包んでいるのはなんだったろう?

途中まで読んで、放置していた『雛を包む』を、『銀座旅日記』で常盤さんが取り上げていらしたので、最初から読み直して、読了。
有吉玉青さんは、有吉佐和子さんのお嬢さんというぐらいは知っていたけれど、それ以上の予備知識はまったくなし。
表題作の「雛を包む」がなかなかいい感じのエッセイだった。有吉家では、毎年、おひな様をしまう時、パッキンの代わり?にお習字を練習した紙を使ったという。我が家では、おひな様をしまうのに、お習字の紙は使わなかった、と思う。自分への手紙とか、タイムカプセルみたいな大仰なものじゃなくて、でも、一年後に確実に目に触れる。そこで自分が書いた一年前の文字を目にして、成長のあとを実感する。なんかステキな習慣だ。
そういえば、今年のひな祭りに、実家でも内裏びなだけは飾られていたのだが、母が「そろそろ出したりしまったりが大変だから、今年で最後かしらね。おひな様は、明治神宮で供養してもらえるっていうから、持って行ってもらおうかしら」と言っていたので、「ちょっと待った。うちに今は置けないけれど、とりあえずそのお内裏様だけはとっておいて」と頼んだのだった。
そんなに思い入れがあったのか?と我ながら思うのだけれど、いざ処分すると言われると、なんとなく寂しくなる。高価でも由緒正しいわけでもないのだけれど、わたしのために買ってくれたおひな様は、世界中さがしても、これしかないと思うとどうも、処分するのは忍びなく感じてしまう。
ほかの作品は、茶道にまつわるものだったり、日本の伝統をたずねる旅だったり。お茶はまったくわからないので、知らない世界をちょっとだけ覗く感じで面白かった。旅の方も「へぇ〜」と思うことも出てきた。
が、「雛を包む」が一番印象に残っている。

雛を包む

雛を包む