のんきにしていたら、平成中村座に向かう時間を過ぎていて、あわてて家を出る。雨の中、浅草駅から早足で隅田公園をめざす。心なしか、人が少ないような…。なんとかぎりぎり間に合った。
舞鶴雪月花」、「花」は七之助くんの踊り。藤娘を思わせる演出もあり、可憐な乙女の踊りが綺麗で、美しかった。「月」と「雪」はそれぞれ洒落た趣向で、こんな仁左衛門さんは二度と見られないかも?という「月」…。千之助ちゃんと一緒に舞台に立つのがほんとうに、楽しそうだなぁ。そして勘三郎さんの「雪」は、これまた勘三郎さんらしいサービス精神と幕切れの趣向が嬉しい。
七之助くんが昼の部三本ともに出演で、兄や父を盛り立てようという心意気が感じられる。中村屋一門は、ほんとに家族なんだなぁ。そして、「一條大蔵譚」では小山三さんがお元気でよかったよかった。仁左衛門さんも昼の部二本に出ていらして、勘九郎さんの船出を応援している心意気がステキだ。
その「一條大蔵譚」では、檜垣茶屋の茶亭でハプニング。「え!?」と思ったら、代役だったのね…。序盤の物語の説明を担う役だけに、急な代役はお気の毒だ。途中、七之助くんがさりげなく助け舟を出していた。
終演後、学生時代の友人と合流して、浅草寺へ。奥山風景の入り口で中村座の半券を見せると、角切銀杏のストラップをもらえる、ということで交換に。6時から三社祭の奉納舞踊に勘三郎勘九郎七之助さんが登場、ということだったのだが、雨が激しく降って、果たしてできるのかどうか? とりあえず、お茶をしながらおしゃべりしよう、ということになり、オレンジロードの喫茶店に。雨がやむ気配なしだが、友人の友人が「準備が進んでいるから、もし奉納舞踊を見るのなら、そろそろ来たほうがいいよ」と教えてくれて、じゃあとりあえず行ってみるか、ということになり、五重塔の隣の特設舞台のところへ行ってみると、すでに待っている人が大勢。まだやるかどうかは決まっていないとのことだったが、これだけ人が集まったら、勘三郎さんのことだから「やろう」と言いそうだよね、と中村屋贔屓の友人と待つことにした。
結局、テントは観客のために作ったものだったようで、テントの下で待つことに。やがてプログラムも配られ、準備が進み、文扇堂のアライさんが登場。勘九郎さんと七之助くんで踊ると紹介が。しかし、前に背の高い人が立っていたので、あまりよく見えなかったが、友人がデジカメをモニターかわりにしてくれて、そのうち、居場所を少し変えられて、半分ぐらいは見ることができた。七之助くんがキビキビと小気味良くて、あー、お兄さんに負けず劣らずお稽古しているんだろうなぁ。相変わらず痩せてはいるのだけれど、以前にくらべると体の線がしっかりしてきて、痛々しい感じがなくなったのは、ここ一年ぐらいの舞台を見ていて感じていたのだけれど、素踊りでそのことを改めて確認できた。
コンディションが悪い中、地方さんも含め、ほんとにいいものを見せていただいて、ありがとうございました。勘三郎さんもスーツ姿で登場して、ご挨拶された。
飲み会に行く友人と別れて、地下鉄で帰途につく。帰る前にスーパーに寄って、花粉症の薬や雑貨、食料品の買い出し。家に帰ってみたら、中村座の筋書きが、雨の雫があたったのだろう、よれていてちょっとショックだ…。
今日も車中のお供は

しずり雪 (小学館文庫)

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