積ん読本の素 その7(下)

中野さんご本人にとっては、この本は
<b>わたしにとっては、なんというか『産みの苦しみ』漂う本である。文筆業者としての自分にまだいろんな迷いやためらいを抱えていたころの本である。私としてはあんまり思い出したくない、闇から闇へと葬り去りたい本なのだ</b>
という。そして、この本を書く苦しみを経て、今の、中野翠的スタイルが見えてきたのだという。ということは、中野翠という書き手について語る上で、記念碑的な本なのだ。

この本は、坪内道の基本文献(と勝手にわたしが呼んで作成している)リストにも挙がっている。そして、それとはまた別に、かねたくさんとのご縁で、中野さんの新刊<A HREF=http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/3be9eb04314cb0105a09?aid=p-mittei16105&bibid=02152052&volno=0000>『毎日一人はおもしろい人がいる』</A>を手に取った。そしてその二つの縁がつながって、また一人追いかけていきたい書き手が増えた。さらに、積ん読本が増えることは、まちがいない。