本好きには、楽しめるけれど罪作りかもしれない(2)

一見当たり前のようなことだが、どれもそれなりに難しい。
あれもこれもと欲張っても半端な棚しかできなければ、専業で店を構えている古書店には絶対勝てない。かといって、安くすればいいかというと、自分の蔵書を売っている間はいいが、それらが底をつけばどこから仕入れなければならず、収支が合わなくなる。また、せっかく特色のある本を揃えていても、それを客にうまくアピールできなければ、客は一見さんのままだ。
自分が売りたい本の値段の相場を知っていることはもちろんだが、ただ安くすればいいというものでもない。相場は相場として、自分の店ではこうだからこの値段だということがきちんと説明できなければ、実物を手に取って確かめることのできないオンライン書店に、リピーターはつかない。そして、注文を受けてからの発送や、売りきれ表示、商品を補充するための仕入れと仕入れた新入荷の本の紹介、などをマメにやらないと、客は自分の店=サイトを訪れてくれなくなる。

北尾さんは、ご自分のことを「めんどくさがり」とたびたびおっしゃるが、どうしてなかなか、とんでもない。メルマガを毎日発行し、仕入れに飛び回り、新着本のUPもこまめにされている。そして、それらの仕事をとても楽しげにこなしておられる。そこが、この本のいいところであり、もしかしたら罪作りなところかもしれない。