「三茶日記」か「読書日記」か

この日記を時々読んでくれている知人から、メールをもらった。
本の雑誌」の愛読者であるその知人は、8月号の特集で、島本脩二さんが「私のベスト1」として、神蔵美子さんの『たまもの』(筑摩書房)を挙げておられるのを読んで、「坪内ファンのあなたとしては、どうなのよ?」というメールだった。

4月末から5月初めにかけて、わたしはすっかり『たまもの』に魅入られたようになっていた。そして、それから2か月以上が経った今でも、『たまもの』は今年のベスト1である。
ただ、本の好き嫌いというのは、食べ物のそれと同じで、十人十色であるから、そのメールへの返信には
「立ち読みではこの本の良さは伝わりにくいので、書店の棚で手にとったら一度棚に戻して、他の本を眺めて、それでも気になったら”買い”です」と付け加えておいた。

そのメールで、坪内師匠の連載タイトルが「三茶日記」から「坪内祐三の読書日記」になっていることを指摘された。
いや、正確に言うならば、そのメールで知人が「坪内祐三の読書日記」では云々と書いていたので、「それって、『三茶日記』とは別モノの連載ですか?」と返信で質問したら、「いや、いつの間にか連載のタイトルが変わっていたのだ」という答えがかえってきた。
「ええ、三茶日記じゃないの? 全然気が付かなかった」と、自分の読みのいい加減さにあきれてしまったと同時に、「一体いつから?」という疑問が湧いてきた。
そこで、帰宅してから本棚の坪内コーナーに挿してある「本の雑誌」のバックナンバーを見てみたら、手元にある2001年10月号までの分は、すべて「読書日記」だ。
昨年の秋にこの連載は単行本化されているので、それ以前の「本の雑誌」は、我が家の本棚にはない。坪内道に入門して、久しぶりに「本の雑誌」を毎月買うようになったので、それ以前のものは持っていないのだ。

「もしかして、連載タイトルはずーっと『読書日記』だったんだろうか?」「単行本にまとめる際に『読書日記』じゃなんだから、ということで『三茶日記』というタイトルを新たにつけたのかもしれない」と思えてきた。
真相やいかに?