ついに『OUT』に着手

仕事が片付かず、11時ちょっと前にやっと帰宅。NHKで海外ドラマ「ホワイトハウス」を見ながら、簡単な夕食。食事の片づけを終えてから、おっかなびっくりでMacのソフト”Mail”を立ち上げる。ネットに接続すると、スムーズに新着メールをダウンロードするので、どうやら無事に問題は解決されたようだ。

桐野夏生さんの『OUT』(講談社文庫)に、ついに手を付けてしまった。文庫の上下巻あわせて780ページ。読みはじめる時は、本当に「手を付けてしまった」という気分だったが、読みはじめると面白くて、どんどんページをめくる手が止まらない。だからこそ「手を付けてしまった」という感覚になるともいえる。

桐野さんの作品を最近立て続けに読んでみて感じるのは、彼女の鋭く研ぎすまされた、よく切れるナイフの刃ようだということ。そして、彼女が描く主人公の女性たちは、その心に、誰もがみな逃げ出したくなるような重荷を背負っていながら、そのことを生きていくための糧としている。女としての魅力というよりも、一見平凡な目立たない女でありながら、冷たさと優しさの二つを芯の部分に持ち、一人の人間として魅力的だ。
誰かに寄りかかるのではなく、自分が抱えているものを自分一人で引き受けて生きていこうという、強い意志を秘めている。

『OUT』は、数年前にフジテレビで連続ドラマ化された折り、途中まで見ていた。
ちょうど、仕事が忙しくなってしまって、録画をするにはしたのだが、見る時間がなくてそのままになってしまった。そして、また映画化された。ドラマでは雅子を田中美佐子さん、師匠をアキ竹城さん、邦子を高田聖子さんが演じていた。今回の映画では、雅子を原田美枝子さん、師匠を倍賞美津子さん、邦子が室井滋さん、早苗を西田尚美さんという顔ぶれだ(ドラマの時の早苗役がどなただったか、記憶が定かでない)。現在、日本の映画界で実力派と呼べる女優さんが結集したこの映画は、ちょっと見てみたいと思っている。

そんなわけで、ストーリーの途中までは知っているのだが、それでも映像作品では描かれていない(あるいは見逃していた)ディテールもあり、初めての気分で読んでいる。あっという間に上巻を読み終えて、下巻に突入。そろそろドラマを見逃したあたりに差し掛かって来たので、今後の展開がますます楽しみだ。