落語も楽し(2)

生前の柳朝さんの落語はおろか、ほとんど生では落語を聞いたこともないのだが、一朝さんの噺は、テレビで伺った柳朝さんに雰囲気がよく似ているような気がする。
小朝さんの「芝浜」は、人情味にあふれていて、おかしいところはおかしくて、口跡もよく、さすがだと、初心者ながら感じた。
勢朝さんの「新柳朝伝」は、吉川潮さんの『江戸前の男』を読んでいるので、エピソードとしては、それほど目新しいものはなかったが、語り口が面白くて、辛らつなことをいいながらも、師匠夫妻への思いがこもっていて、いい師弟関係だったのだと察しられる。
こぶ平さんは、申し訳ないがテレビですら落語を伺ったことがない。直感で言わせていただくと、こぶ平さんは”下手うま”なのかな?と思った。
前半は、今日聞いたどの噺家さんとも違うし、間の取り方なども「ちょっと違うのかな?」と感じてしまうところもありながら、噺が後半に進むと、引き込まれていくものがあった。
そして、トリの正朝さん。「トリは今日が初日なので、緊張してます」と、枕でふっていた。師匠の追善興行のトリというのは、やはり重責なのだろう。
お店の素人芝居が題材なので、歌舞伎に関係のあるネタがあって、初めて聞く話でも面白かった。
それにしても、ほとんどの噺家さんが枕で「平日の昼間は、お客が少ない」ということに触れていた。
今回、小朝さん以外は、演し物を日によって変えているようなので、他の噺も聞きたいと思うのだが、夜の部ですら5時半開演では、なかなかもう一度というわけにもいかない。
それにしても、こんなに笑ったのは、久しぶりの気がする。また、機会があれば、落語を聞きに行きたいと思う。そして、寄席に行くきっかけを作ってくださった、吉川潮さんと「ポプラビーチ」に感謝。