落語を聞いても積ん読虫がうずく(2)

伊勢丹の食品売り場に寄って、夕食のおにぎりを調達すると、開演の5時はとっくに過ぎている。
あわてて、末広亭へ向かう。
以前から、ここの前はよく通っていたのだが、中に入ったことはない。
切符を買って、モギリのお嬢さんに切符を切ってもらうと、引き戸一枚隔てた中はすでに客席。ちょっとドギマギする。
先日行った上野の鈴本演芸場国立演芸場のように、ロビーがあって扉を開くと客席というわけではなかったのだ!。
しかも、客席はかなり満員。案内のお嬢さんが、空いている席を探してくれる。
メクリをみると、今、高座に上がっていらっしゃるのは林家しん平さんだった。
続いて登場したのが、先日の鈴本でも拝見した、奇術のアサダ二世さん。はっきり言って、まったく同じネタなのだが、何度見てもおかしい。
番組は、馬の助さん、小ゑんさん、漫才の笑組さんと続くのだが、ここまではどうやら全部、マクラの延長というのか新作というのか、とにかく古典ではない。
その中でおかしかったのが、小ゑんさんの「おでん」のタネが鍋の中でこんなことをしゃべっているんじゃないか、という噺。
「グーツグーツグーツ」という決め言葉に続いて、こんにゃくやはんぺん、大根、じゃがいも、白滝、フクロ、がんもどきといったタネたちがブツブツと文句を垂れるのだが、これが”いかにも”で、場内爆笑の嵐だ。

そして、本日のお目当ての一人、小朝さんの登場。
相変わらず派手な着物に金髪で登場となるのだが、それが嫌みにならないところが小朝さんだ。噺はこれまた「越路吹雪一代記」とでもいうべき新作(?)。
越路吹雪さんの人となりを語りながら、世間一般の男女の機微とか、女性が魅力的であるための心得的なことを、面白おかしく語っていく。
そして、越路さんの最後の一言に、内藤さんとの夫婦愛がかもし出されて、ジーンとさせてくれる。
小朝さんだからこそ、の一席だろう。でも贅沢を言わせてもらうと、古典が伺いたかった。
ここで、仲入り。