戸板康二

また、浅野時一郎『私の築地小劇場』(秀英出版)は、大正十三年六月から昭和三年十二月二十五日小山内薫の死まで、現代演劇人が青春の夢をかけたアルト・ツキジ第一期の公演の全部を見て書きとめた貴重な記録。その解題を書いている戸板康二には、明治大正劇評家論というべき好著『演劇画報*1・人物誌』(青蛙房)があって、本当の劇評の心意気を論じている。演劇の詞章はイタの上にのせて論ずべし、という時代がきているようだ。
          谷沢永一『完本 紙つぶて』(文春文庫)P.111 「舞台にのせての演劇論」より

*1:演芸画報の誤り?