岩波文庫と講談社文芸文庫が頼みの綱(1)

坪内さんという書き手と、衝撃的な出会いを果たして以来、選ぶ本の傾向がずいぶん変わったというのは、この日記にも何度か書いているし、ネット上で知り合った方々とのやり取りの中でも、自己紹介がわりにそのことについては、書くことが少なくない。
それまでは、冒険小説や推理小説新本格ではない)を主に読んでいたのが、坪内さんと出会ったことで、シブい本にシフトしていた。
その後、福田和也さんの『作家の値打ち』を遅れ馳せながら読んで、そこで高い評価を得ていた作品をいくつか読んでみて、読まず嫌いだった新本格なども多少なりとも読んでみたりした。

さらに、坪内さんが『ちょっといい話』を取り上げていらしたことと、歌舞伎熱が再燃したことで、戸板康二先生の本をBOOK OFFで探したり、実家の本棚から引っ張り出したりして、再び読んでいる。
その上、戸板道の素敵な先達・ふじたさんの「A Moveable Feast」というHPと出会って、戸板先生と深い交わりがあった人々の作品を読むようになり、すっかりそちらの世界にハマっている。そして、これは奇しくも”坪内道”とも重なる部分が大なのであった。
その証拠に、坪内さんが「週刊文春」に連載していらっしゃる「文庫本を狙え!」で紹介されていた本や、これは紹介されるだろうなと当たりをつけて買った本が、しばしば戸板道とも重なっているのだ。
そんなこんなで、紆余曲折を経ながら、わたしの選ぶ本は、このところすっかり明治・大正・昭和あたりの作品やそれにまつわるものが多くなっている。