落語でも聞いてみたい「牡丹灯籠」(2)

もともと落語からもってきた芝居ということで、「東海道四谷怪談」に較べると、より笑いの要素が多いので、全編通して怖いという感じはない。
ただ、自分の欲に取り憑かれて殿様を殺した揚句に落ちぶれて行く、お国と源次郎。ちょっと幸せになりたかっただけのはずが、幽霊によってもたらされた100両を元手に築いた現在を失いたくないために、できた女房・お峰にまで手をかけてしまう伴蔵。この二組の夫婦の最期が、人間の業の深さを目の当たりに見せつけられて、ゾーっとする。
単なるお化けの噺でも、お笑いでもないところが、圓朝の怪談噺の奥行きかもしれない。

あー、落語でも「怪談 牡丹灯籠」が聞きたくなった。談春さん、やってくださらないかしら?