聞いてみたくなる志の輔さんの「旅まくら」(2)

旅に出て、その体験を落語のネタにする。最近では、独演会に、旅まくらを楽しみに来てくれるお客のために、旅に出るのかもしれないとまで言う、志の輔さん。その旅も、ありきたりのものではなくて、インドで濁ったガンジスに潜り、台風に追いかけられながら独演会に間に合うようにやっとのことで高知から戻って来る、近くて遠い国・北朝鮮に行き、お世話になった企業の社長さんの社葬で一席うかがう。
どれも、一筋縄ではいかない旅だ。その体験を聞く者が、共感を持てるような身近なたとえ話をまじえ、ちょっと役に立つこと、そして何より、聞くと(わたしの場合は、読むとだが)そこに自分も行ってみたくなる、そんな楽しい味付けを施した話ばかりだ。

これを、志の輔さんの口から、生きた言葉として聞いた時に、読んだ時と同じように聞けるかどうかはわからない。だけど、聞いてみたいなという気持になったことは、事実だ。
やはり、生で体験してみないうちは、本当のところ、わからないけれど。