「黄金餅」

立川談志遺言大全集 12』*1黄金餅論があったけど、道中立てについては書いてなかった。
談志師匠いわく「黄金餅」という噺は、

「死を茶化すのでもなきゃ、「死」の恐怖でもない。でも物凄い。”物凄い”という言葉で表現したら一番凄い落語であろう。       P.201

何と古今亭志ん生は成功美談のように喋り切って高座を降りた。
この全編凄惨ともいえる『黄金餅』が志ん生が演ると明るいのだ。いや、明るくはないか、むしろ当然「暗い」。けど、どきどきしながら聴いていられる。”聴いていられる”なんてもんじゃない。引き込まれ、得もいわれぬ不思議な空間に入れられ、”ことによるとこれが落語なのかな”と思い、いや、そんなことはあるまい、これは特別の落語なのだ”と思い返す。でも、何処かに残るのだ、”これが落語なのかも知れない”・・・・・・と。         P.202

「落語のおと」

*1:立川談志遺言大全集 12』ISBN:4062111322