立川流新真打お披露目の会@池袋芸術劇場中ホール

会場に入ると、物販のテーブルに人だかり。大方、談志師匠のDVDとかを売ってるんだろうなぁと思いつつ、近づくと、あれ?談春さんが洋服姿で・・・。そうか、今日は「en-taxi」の先行販売をすると、HPに書いてあったなぁと思い出す。せっかくだから、ここで買っておこうと、列に並ぶと、談春さんは「大独演会」のパンフを買ってくれたお客様にサイン中。声をかけさせていただき、ちょっと雑談していたら「写真を撮らせていただいていいですか?」という男性が登場したり、サインをもらって「握手していただいてもいいですか?」という女性など。ウーン、真面目にサインしている談春さんなんて、滅多に写真を撮れそうもないから、撮っておけばよかった?(笑)。「en-taxi」の方は、すでに自筆のナンバリング入りサインが、表紙にしてあった。わたしのは46番でした。
マクラで新真打ちお披露目の会というわりには、新真打ち二人が先に上がって、談春さん、仲入り、口上、談志師匠という番組に、談春さんが「主催者も考えてますね」なんて言って笑いをとっていた。
で、談春さんは「蒟蒻問答」。お経が読めないと心配していると「そんなの、いろはにほへと ちりぬるをわか」に節をつけりゃいいんだよと蒟蒻屋の旦那が言うところが、最初の聞かせどころ。かなり低い調子で「い〜ろ〜は〜に〜 ほ〜へ〜と〜」と出ておいて、「ちりぬるをわか」をリズミカルにちょっと高い調子に変えるところのイキがいいなぁと思った。談志師匠の「黄金餅」の「金魚〜 金魚〜 ・・・」といういんちきなお経を連想してしまった。
そして、最後の”蒟蒻問答”の件、身振りだけのところも、蒟蒻屋の旦那が説明するところも、非常におかしかった。時々、「これって、素に戻ってるのか、こういう運びを意識的にやってるのか」というようなところがあるのだけれど、そこで醒めてしまうかというと、そんなことはなく、噺の世界に捕まったまま落げを迎えることができるという幸せを、今夜も味わわせていただきました。
口上は、談春さんが司会で、新真打ち二人の紹介(非常に簡潔かつ、おかしい)に続いて、談志師匠の挨拶。お二人のことじゃない話題でかなり際どい発言もあったりして、でも途中で「口上だってことは忘れてないから」と自らおっしゃって、会場は爆笑と拍手に沸く。
一旦、緞帳を下ろして、高座を作り直していたのでしょう、結構な時間が経過して、やっと「木賊刈」が始まる。談志師匠自身が、実はいちばんイライラされていたようで「こんなに幕を閉めてお客を待たせるんなら、開けたままで高座を作るところもみせちまえばいいと思う」と。それからジョークあれこれやりつつ「今日は、今までやったことがないネタだから。珍しいネタを聞けたということを今夜の喜びにしてくれ」というようなことを言っていらした。
で、ネタは「西行」。圓鏡さんはやるらしいけれど、そんなネタがあること自体、知らなかったので興味津々だった。「袈裟と盛遠」を引き合いに出し「この盛遠が出家した理由はわかっているんだが、西行が何故坊主になったかはわたしも知りません」と言っていらした。途中で何度か「こういう話をしてると、ジョークを思い出すんだよ」と言って、関係ないジョークも。
最近、談志師匠は今まで高座にかけていなかったネタっていうのが多いのでしょうか?
談笑さんの落語は、はじめて聞いた。ネタは「蟇の油」。口上で、談志師匠が「こいつは、器用というか要領がいいというか」と談笑さんのことをおっしゃっていて、たった1席聞いただけでなんですが、「ああ、やっぱりね」と思ったのだった。下手じゃないし、工夫もしているのだけれど、なんかわたしが好きな落語とは違うなぁというのが、正直な感想でございます。
談慶さんは、真打ちトライアルの直前に、お江戸日本橋亭談春さんの独演会の時に、急遽、高座に上がったのも伺っているし、日暮里寄席だったかでも聞いた事があったので、初めてではない。ネタは「不動坊」。これまた下手だとは思わないし、工夫もあるのだけれど、やっぱりわたしには、もう一つ物足りませんでした。
でも、談志師匠が「談慶はこれからです」とおっしゃっていたこともあり、今後に期待します。
そういえば、笑志さんが夏前に、真打ちトライアルをさ開催されるとのこと。今度こそ大丈夫でしょう、きっと。