『傷 慶次郎縁側日記』

北原亜以子さんの「慶次郎縁側日記」シリーズ第1作。八丁堀の同心を養子に譲り、隠居した慶次郎は、商家の寮番として暮らしている。そこに起こる大小の事件を描くのだけれど、その“事件”というのが、いわゆる“事件”じゃなくて、日常の延長のちょっとした出来事だったりする。人としての生き方、人と人の関わり、かな。それを見事に解決する場合もあるし、今後を予感させて終わってしまうこともある。
めでたし、めでたし、じゃないところに、北原流が感じられるなぁと思ったら、北上次郎さんの解説を読んで、すっきり腑に落ちた。このシリーズ、これからが楽しみ。

傷―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)

傷―慶次郎縁側日記 (新潮文庫)