立川談春独演会 秋のうだうだ@博品館

池袋のCD発売記念大独演会に続き、エレベーターを降りると、和楽器ユニットの大音響。池袋は中ホールでロビーも広かったからいいけど、ウーン、博品館の狭いロビーであの音量はちと厳しいな・・・。

  • 「おしっくら」
  • 「汲みたて」

仲入り

春と秋の夕暮れが好きだけれど、その中でも秋の夕暮れが好きというところから、最近、京都で高級和食を食べた話になり、「二人旅」?「三人旅」?、一瞬「ねずみ」?という気もしたり、でも一席目で「ねずみ」はさすがにないよなぁと思ったら、「三人旅」の「おしっくら」だった。このネタは、以前にどこかの落語会で聞いたなぁ。相変わらず、宿屋のばあさん、旦那、娘っこの訛が冴え渡る。そうだよな、発声練習しとかないとね(笑)。顔が片口で年がじょうごで、には笑った。清ちゃんと半ちゃんがなんかこんがらがったけど、とにかく爆笑。そのまま、羽織をもって引っ込んだので、思わず時計を見たらまだ7時半。先ほどロビーで演奏していた方々が、今回も出囃子担当で、ウーン、津軽三味線の出囃子は、なんかやっぱり落ち着かないと思いつつ(鳴り物はさすがに上手いけど、やっぱりなんか違う気がする)、つないでいる間に着替えたらしく、しゃぎって、なんと「木賊刈」が始まったので、「エー、まさかね」と思わず声に出してしまったのだが、周りのお客様は案外、反応していない・・・。ドキドキしていたら、着替えた談春師匠が談志師匠っぽく登場。「びっくりしたでしょ? なんかこうやって出て来ると、乗り移った感じがするよね」と。そんなところで、脅かさなくても・・・。
テレビがなかった頃、夏の暑い盛りには、町内の音曲の師匠の家にみんなで集まって遊んだそうで、という話題から、「え、まさか?」と思ったらやっぱりの「汲みたて」。このネタは、談春師を追っかけ始めた頃に一度聞いたけれど、以来、聞くチャンスがなかったネタ。今回は、みんなで舟で追っかけて行って、邪魔をするところで、邦楽ユニットの皆さんが音を出すのだが、ウーン、なんか妙にちゃんとした音になっていて、ちょっと違うかな?という気がした(すみません、生意気を申しまして)。あの町内の連中が、ちゃんとした音を出すんじゃなくって、ただジャンジャンドンドンピーヒャラやってる、というのが面白いのになぁと。もっと騒音チックな音を勝手に聞き手にイメージさせる方がいいなぁ・・・。
仲入りの後は、ふたたび羽織を着て「中の舞」で登場。わりとすーっとネタに入って、これまた久しぶりの「明烏」。今回は、一夜明けたあと、源兵衛と太助が若旦那が泊まった部屋に行ってから、やたら甘納豆にこだわっていた。「汲みたて」でも甘納豆が出て来たからなのか? 若旦那を騙すために、茶屋をお巫女さんの家にしちゃうというところ、父親からお稲荷さんに行く時の心得を聞かされて、二人に合流したとたんにそれをおうむ返しでペラペラしゃべって、二人に向かって「町内の札付き」と言っちゃうところは、毎回やっぱり爆笑しちゃうなぁ・・・。札付き二人組の凸凹加減と、初心な若旦那のチグハグさ、影で糸を引く(笑)お父さん、と男4人の描き分けが聞き所。そして、一夜明けた時の若旦那の照れっぷりが、可愛い。
さて、暮れに向かってなんか大ネタを仕込んでいらっしゃるそうなので、それもまた愉しみだ。口ぶりから勝手に想像すると、アレやアレじゃなさそうだよなぁ・・・。さあ、なんでしょう?
最後に「僕の場合、独演会をやるしかない訳で、計算上、3年で90席ぐらいはできるんだから、そんなに「また〜」と言われることはないと思うんだけど」と。今日のネタ選択は、確かにその法則に当てはまっていたような。ファンというのは勝手なもので、極めつけのアレが聞きたい!という気持と、新しいネタを聞きたいという欲求を、どちらも満たしてもらいたいと思うのですよ・・・。
終演後、CDにサインするとのことで、ちょうどロビーに出ていらしたところに遭遇。ウーン・・・。