『日本の鶯』

中村屋聞き書きに比べると、関さんの言葉遣いが非常に丁寧。いや、中村屋聞き書きだって、丁寧なんだが、やはり関さんの当時の年齢と、お相手の大学先生の年齢の開きとか、社会経験とか、いろんな要因があって、こんな風な言葉遣いの違いになっているのではないかと、推察する。
それにしても、相手のことをじっくり調べて、それでいてそれをひけらかさず、相手の懐に飛び込んでいく姿勢というのは、お若い頃からだったのだなぁと、感心する。
大学先生も、ついついいろんなことを思い出させられるらしく、つい昨日のことのように、見聞きしたこと、自分の体験を話していらっしゃるのが、伝わって来る。それにしても、森鴎外の存命中に観潮楼のお向かいに住んでいたとか、与謝野寛・晶子夫妻と親しくおつきあいされていたとか、なんかやっぱりスゴい人なんだなぁ。でも、そういうことをひけらかすのではないところが、ますますスゴいと思う。