『舞台の衣裳』

花柳章太郎『舞台の衣裳』。古書現世の目録BIGBOXの古本市で函無し・裸本だけれど見つけて(値札を見たら、いこいさん出品だ!)、手に入れたまま積ん読の山に埋もれてしまっていた(汗)。どうも、探していた本を手に入れると、それで安心してしまうという、パターンが定着しつつある。
読んだというよりは、うっとりと眺めたというべき1冊。花柳章太郎といえば、新派の名女形で、衣裳に対するこだわりは、よく知られている人。この本は、そんな花柳が亡くなる以前に企画・制作が進行していて、花柳本人がそれぞれの衣裳についての解説原稿を書いているが、その刊行を見届けることなく、亡くなった。
後半の何点かはモノクロ写真であるのが、残念。それにしても、これだけの衣裳を自前で揃えるというのは、時代が違うとはいえ、大変なことだと思う。そして、それぞれの意匠のすばらしさ、それを選んだ花柳の美意識の高さに、ため息が出る。これらのきものは、いったい今、どこでどうしているのだろう?
ちなみに、花柳が演じた作品の多くは、明治・大正を舞台とした文芸作品で、ただいまの獄死的明治勉強に関連する作品もあり、花柳の衣裳を見ていると、本で読んだだけでは想像がつかない、当時のきものの輪郭が見えて来るように思える。
「大つごもり」「不如帰」「明治一代女」「一葉舟」「十三夜」「白鷺」「残菊物語」などなど・・・。そういえば、松竹110周年祭*1のプログラムの中に、花柳主演の「残菊物語」が入っていたよなぁ・・・と思ったら、今日までだ。ウーン、見に行けるかなぁ? 一応、ビデオでは見ているのだけれど、スクリーンで見てみたいなぁ。
次に読むのは、同じく入手しただけで安心してしまった、これかな?