談春四季の会・冬@横浜にぎわい座

ここでの独演会は、いつも生の出囃子だったのだが、今回はCD。舞台の両袖をチェックすると録音マイクが立っていないせい? 1階は補助椅子も出ていたので、満員御礼だったのだろう。
「鞍馬」に乗って登場、今後の予定などを軽く話してから、入門して最初に教わった小咄のこと。それから談志師匠ならでは!というエピソードを2つ披露して、「味噌蔵」。マクラを聞いていた時は、先日花緑師匠が県民ホールでやった「片棒」をやるのかしら?などと思っていた。さすがにそれはないですね、はい。失礼しました。このネタ、談春師匠は初めてだっけかなぁ? どうだったかなぁ? 親類に嫁をもらえと迫られるあたりまでをたっぷりと。吝兵衛さんがまぁ、これでもかともったいながりだということをアピール。でも、行き過ぎではあるけれど、奥さんの実家から戻って来るみちみち、どんちゃん騒ぎが聞こえて来て、定吉にブツブツと言っている内容なんかは、吝兵衛さんが言ってることって、正論だよなぁと思ったり・・・。「二番煎じ」じゃなかったけど、ある意味似ているネタだったので(わたしとしては、ですが)、満足でございます。
仲入りが20分もあったので、予約した年明けのチケットを取りに2階へ行って、志ん朝師匠の写真展(『志ん朝の高座』刊行記念かなにからしい)も拝見して、席に戻る。後ろから「文七元結がほにゃららら」という会話が聞こえて来て、あれ?と思っていると、「中の舞」で登場した談春師も「ほとんどみんな、CDで聞いたからいいよと思ってるかもしれないけれど、にぎわい座のスタッフの人にポロっと言ったら、すごく喜んでくれたので、やります。どうなるかは・・・」と。この会のチラシは、毎回ほとんど目にしないもので(にぎわい座には、そうしょっ中はいかないですから)、ネタ出しされていたのに、まったく気付いていなかったらしい・・・。その割りにはいい勘してるでしょ?(>オイオイ)
談春師匠の「文七元結」は、前半は佐野槌の女将さんにスポットが当たっている。彼女が主役といっても過言ではないくらいに。で、この女将さんに毎回、泣かされるのだけれど、今日の女将さんは、ますます冴えていた。「お前さん、博打打ちって知ってるかい? 自分でもいっぱしの博打打ちのつもりかもしれないけどね・・・」という、わたしが今までに聞いた時にはなかった部分が加わって、省くところは省いて、ますます女将さんの説教に凄みと説得力が増した。文七と長兵衛が吾妻橋の上で出会うところは、言葉が刈り込まれていて、それでいて長兵衛の「この五十両をやるよ」というクライマックスに向かっての盛り上げはバッチリ。そして、文七が近江屋に戻ったあたりからは、もうカラっとあちこちに笑いポイントがちりばめられていて、最後は楽しく大団円を迎えることができた。
「味噌蔵」といい「文七」といい、落語を聞いているのに、その場面が目の前にありありと浮かんで来た。年内最後の独演会も、大変、結構なものを聞かせていただき、満足満足でございました。