二月大歌舞伎夜の部@歌舞伎座

  • 「石切梶原」
  • 「京鹿子娘二人道成寺
  • 「小判一両」

今月、最大のお目当ては、実は「京鹿子娘二人道成寺」だったりする。二年前、玉三郎菊之助でのこの演目の初演を見て、二年経ってどう変わったか、というのに、とても興味があったから。
今回は、前回に比べると、二人で踊るパートが増えていて、直裁な言葉でいうと、ちょっと二人の関係が同性愛っぽく見えた。前回は、菊之助くんが花道から出ると、ジワがきたし、わたし自身、震えがくるような感覚に陥ったのだけれど、今日は、そこまではいかなかった。確かに、綺麗なのだけれど、何が違うのかな? 2年前と。
娘道成寺」という踊り自体でいうと、去年の勘三郎襲名で勘三郎さんが踊った「道成寺」がスゴかった。勘三郎さんの身体能力の高さを見せつけられると同時に、娘から女へと変化して行く心根の変化をまざまざと提示された。それに比べると、何かが足らなかったような・・・。
自分をいかに美しく見せるか、という点における玉三郎さんのスゴさは、道行で花道から出た菊之助くんが、一通り踊った後、スッポンから玉三郎さんが登場して、二人並んだ時に、その年齢差を感じさせないところから、ずっと変わらずに最後まで貫かれている。ただ、それが、白拍子花子じゃなくて、坂東玉三郎なんだなぁ・・・。
菊之助くんは、若さにものを言わせて、目一杯踊っている。歌舞伎座の広い舞台を目一杯使って踊る。その若さに、圧倒される。
近い将来、菊之助くん一人で踊る「娘道成寺」を見てみたいと思った。
「石切梶原」は、面目ないが、途中で落ちてしまった・・・。歌六さんが老け役に挑戦していて、これが意外によかった。この方、これからますます渋い脇役として、光るかも? 
「小判一両」は、宇野信夫作ということで、落語の「文七元結」を連想させる、一幕目が楽しい。吉右衛門さんと菊五郎さんの二人舞台になる料亭の場は、”平成の菊吉”のがっぷり四つの芝居を堪能することができて、御馳走。吉右衛門さんは、昼の部の幡随長兵衛といい、芸が大きい。ただし、幕切れがなんとなく尻切れとんぼに思えてしまったのは、わたしの見方のせいかなぁ? 「あれ、これで終り?」と思ってしまった。