伝の会 点心@お江戸日本橋亭

喬太郎師匠とのコラボで知った「伝の会」。杵屋邦寿さんと松永鉄九郎さんという、流派を超えた、長唄三味線弾きお二人のユニット。「どんなことをなさるのかな?」という興味と、ゲストが志の吉さんということもあって、視廻りさせていただく。長唄や下座音楽で使う三味線のいろんな手を再構成した演奏による前半と、志の吉さんの落語、そして3人でのおしゃべり、最後にオリジナル曲というプログラム。
幕明きで演奏したのが「ギッチョ」というのだそうで、寄席の出囃子の「ギッチョ」とはまた違う(こういうことは、よくある。例えば、セリというと、芝居の感覚だと「鞍馬」なのだけれど、寄席ではちがう手を弾く、とか)。根っこは同じところにあっても、その後の歩みの中で、少しずつ違うんだな、やっぱり。
その後、芝居の暗闇で演奏される三味線の曲を構成したもの(忍び三重とか、「三人吉三」大川端のところで弾く下座とか)などあって、吉原をテーマにしたメドレーで前半を締める。最後が「吉原雀」の難しい合方。「吉原雀」は好きな長唄で、時々iPodで聴くのだけれど、つい昨日も、帰り道に伊十郎さんの「吉原雀」を聴いたばかりなので、偶然にびっくり。
たぶん、邦寿さんがボケで鉄九郎さんがツッコミですか?、というトークも楽しい。
志の吉さんは、最初、客層がつかめなかったんだろうな、わりと長めの自己紹介からはじまって、志の輔師匠のことなんかも多少おりまぜたマクラ。そして、与太郎が出て来る話と前置きをして、与太郎が店番をするところから。この前半、(多分)聴いたことがないので、ネタは何?と思ったら、おじさんが出かけて行って「金明竹」であった。
関西弁の言い立て、二度目で客席から拍手が。まぁ、「道成寺」のチンチリレンの合方で拍手するような感覚なんでしょうね、本日のお客様にとっては。おかみさんのリアクションがおかしかった〜。
一席終わったところで、伝の会のお二人が志の吉さんを真ん中にはさむ恰好で、高座に座る。それからしばらく、入門した頃のことや、去年の志の吉さんの独演会の時のこととか、主に鉄九郎さんが、志の吉さんとおしゃべり。
志の輔師匠がらみの、かなり「いい話」もあって、ちょっと得した気分であった。