團菊祭大歌舞伎夜の部@歌舞伎座

今夜はなんといっても、三津五郎さんの「吃又」! 丸本モノで沈没しなかったなんて!(オイオイですが・・・)
土佐の名字を許してください!とお師匠様に必死にお願いして、断られた時の落胆ぶり。手水鉢に絵を描いて、その絵が抜けていることを、お徳に教えられて喜ぶところ。そして、姫君を救出に行きなさいとお師匠様の命を受け、きものを着替えるところのウキウキぶり。お徳の鼓に合わせて、物語を語るところ。どれもこれも、大変良かった。見ていて、お徳と一緒に悲しんだり、喜んだり、なんて可愛い夫なんだろう、と思った。
その、時蔵さんのお徳がまた、とても良くて、正直言って今まであまり注目していなかったのだけれど、気になる役者さんがまた一人増えてしまった・・・(笑)。登場人物が少ないだけに、緊密なアンサンブルを堪能できた、一幕であった。
二番目は、「保名」と「藤娘」。立役の菊之助くんの舞台をみるのは、なんだか久しぶりな気がする。ちょっと線が細過ぎるかな?と、見るまでは思っていたのだけれど、意外に気にならなかった。やっぱり盛りの綺麗さがある役者さんは、何をやっても、その美しさがいろんなものをカバーしてくれるんだなぁ。海老様の「藤娘」は、正直言って、「デカ!」っていう印象が、最後までつきまとってしまった感じ。藤の花の大道具も、普通よりさらに大きく作っていると思われるのだけれど、やっぱりデカいです、海老様。お顔立ちが綺麗なので、時々、うっとりするような美しい表情も垣間見えるのだけれど、女形に馴れていないというのは、隠せないなぁ・・・。誰がこの演目と配役を考えたのか。その狙いを伺ってみたいなぁと。
三番目は、「黒手組助六」。菊五郎劇団だなぁという演出がいろいろとあって、楽しいのは楽しいのだけれど、なんか物足りないなぁという気が・・・。やっぱり「助六」は歌舞伎十八番の「助六」がいいなぁ・・・。まぁ、雀右衛門さんの揚巻が見られたので、良しとしようか。セリフをプロンプがつけてるのが、バレバレだったけれど、その存在感はさすがだった。