本日の、おそるべし!2題

ランチは、おじさまたちと、O友へ。歩きながら、最近”O友名物”になりつつある、オバちゃんの話に。「そんなにスゴいの?」と取締役がおっしゃるので、みんなで実例をいろいろと挙げていくと「へぇ〜、そうなの?」と驚いていらっしゃる。O友に着くと、さっそくオバちゃん登場。席に案内されて、お茶とおしぼりを持って来たのも、オバちゃん。そのままオーダーを取ろうとして、さっそく、さっきのエピソード其の1をやってくれた(笑)。ランチのメニューのうち、刺身定食と日替わり定食は、毎日内容が変っていて、それは、入り口の黒板に一応、書き出されてはいる。でも、地下にある店で、入り口の扉周りは狭いので、天気のよい日でも、その黒板をまじまじと確認して入る客は、まずいない。で、当然「今日の日替わりはなんですか?」「お刺身は?」という質問が出るわけだ。すると、他の店員さんは、メモを確認しながら「本日の日替わりは○○と◯◯です」「お刺身は○○と◯◯と◯◯です」と答えてくれる。が、このオバちゃんだけは違う! 必ず「上の黒板に書いてあるんですけど」とまず言うのだ。今日ももちろん、この定番は出た。すると取締役が思わず、天井を見上げて笑っている。それを見た我々は、笑いをこらえるのに必死。結局オバちゃんも、メモを見ながら、本日のメニューを披露するのだけどね。オーダーを終えて、オバちゃんが我々のテーブルから離れるやいなや、取締役が「ほんとに言うんだね〜。オレ、思わず上向いちゃったよ」と。
O友の特徴は、メイン料理以外にいろんな副菜がつくという点。わたしがよく頼む、刺身定食の場合、刺身3種盛り合わせ+サラダ+小鉢+茶碗蒸し+漬け物+ご飯+みそ汁が出て来る。それらを、ちゃんと瀬戸物やガラスの器に盛って出しているので(刺身は2段重ねのお重に盛りつけられている)、当然、テーブルの上は、賑やかだ。このバリエーション豊かな感じが、値段だけでいえば赤坂ランチ相場としては、普通の線でありながら、満足感を与えている訳だ。
で、きちんと盛りつけがされているということは、料理の向きというものがある。で、またまたオバちゃんの定番発言が生まれる。案内されたテーブルによっては、オバちゃんが全部を自分で配膳するのは、狭くて難しい場合が往々にして起こる。だから、こちらは親切で「そのお皿、まわしますよ」と声をかけるのだが、オバちゃんは頑として「いえ、お料理の向きがありますから、わたしがお配りします」と言い張る。ところが、本日は珍しく「すみませんが、こちらを回していただいて、よろしいですか?」と。思わず目が点になったのだが、その後に「はい、じゃあこちらを、奥の男性の方に」と言って、皿の向きが変わりそうになるやいなや「いえ、こちら向きでお渡しください」と。「なーんだ、いつもと一緒じゃん!」と、心の中でつぶやきましたとも(笑)。「もちろん、本来盛りつけた向きでテーブルに並んだ方が、美しいとは思うのだけれど、4人用の席に、無理矢理5人案内したのは、そっちなんだから、みんなの料理がとりやすいように並ぶよう、向きを変えたってしょうがないじゃん!」と、客は思っているのだ。そして、オバちゃんが去ったあと、みんな隣や向かいの人に気を遣って、皿の向きを変えてしまうのだから、オバちゃんの指図するかのような発言は、聞きたくない。
そして、ほぼ、皆様食事を終えようという頃、恒例の「ご飯とお味噌汁はお代わり自由ですので、どうぞ!」攻撃だ。オバちゃん、この案内をするタイミングが、常に遅い。おかずも綺麗に平らげた後に、そんなこと言われても、たいていの人は、頼まないよ・・・。ご飯とみそ汁のお代わりが無いと見るや、今日は「お茶はいかがですか?」攻撃に移行。これは、新手のパターンだ。最初の一杯だけは、お茶を注いだ茶碗が出てくるのだけれど、あとは、各テーブルにポットが置いてあって、勝手に注ぐというスタイルなのだが、時として、ポットのお茶の残りが少なくて、足りない場合がある。そういう時は、「お茶のお代わりお願いします」と叫ぶのが通常パターンで、そういう時に限って、オバちゃんは忙しさのあまりパニックに陥っていて、なかなかお代わりが出て来ないというのに馴れっこになっているので、今日の「お茶のお代わり、いかがですか?」攻撃は、ちょっとびっくりであった(笑)。
さらに新しいパターンが、本日、出現した。食べ終わり、お茶を飲みながら、仕事関係の雑談をしていたところ、いきなり、オバちゃんがその会話に割り込んでくるのだ。それも、別に、どうでもいい話。そして、空いた器を下げていくため、三津五郎部長(座った位置が、悪かった・・・)の目の前に、バンバン手を出す。普段は温厚な三津五郎部長も、さすがにちょっとムっとされていたように、見えたのだが・・・(笑)。そういえば、最初に料理を配膳した時も、三津五郎部長の目の前を、オバちゃんの手がバンバン横切っていたなぁ。普通、どうしても前を横切るなら「すみません、前を失礼します」とか言うんじゃないの???と思ったのであった。
食事を終えて、職場に帰りしばらくすると、取締役がリフレッシュコーナーにやってきて「いやぁ、面白かったわ。みんなが言っていたこと、全部やってくれたよね、あのオバちゃん!」と感心?していらした。そして、結論。「あのオバちゃんは、おしゃべりなんだな。考える前に、口から言葉が出ちゃうって言うタイプの典型だね」と。
職場女子の中には、あのオバちゃんがいるから、O友には行きたくない!と言っている人もいる。たしかにねぇ。そういえば、以前、たまたま談志部長と3人ぐらいで行ったら、珍しく、最初はオバちゃんが登場しなくて、慌てて談志部長が「よし、今だ!」と言って、そばにいたお姉さんを「すみません、オーダーお願いします」と、呼び止めたことがあった。たしかに、あのオバちゃんが接客に来なければ、O友のランチは、100点満点中90点は軽くクリアできると、わたしは思う(爆)。その日も、結局は、配膳に登場したのはオバちゃんだったので、他の定番はすべてクリアしていったことは、言うまでもない・・・。
夕方、小雨の中を、溜池山王駅に向かう。山王パークビルの地下鉄入り口に近づくにつれて、風がどんどんひどくなる。もともと、ここはビル風が吹きやすいところではあるのだけれど、今日はまた格別。危ないので、傘をすぼめて階段になんとかたどり着こうと思ったその瞬間。ものすごい風に煽られて、車道側に吹き飛ばされる。わたしの横にいた女性は、ビルの前の石でできた出っ張りみたいなところに、しがみついていた。
ときどき、職場のビルの正面玄関あたりでも、吹き飛ばされそうになるのだけれど、まさかここでとは思わなかったので、転ばなかっただけ、めっけもんであったかも。
地下鉄に乗ると、次の駅の直前で、車両は急停車。そこそこ混んだ車内で、どこにも捕まっていなかった人たちは、かなり危ない体勢になっていた。わりとすぐに「ただいま、緊急停止信号が出ましたので、停車しました。このまま、しばらくお待ちください」という車内アナウンスが流れ、しばらくすると「◯◯駅構内で火災が発生したという情報が入り、電車は停車しております。お急ぎのところ、恐れ入りますが、いましばらくお待ちください」に変る。「えー、火災??? 大丈夫なのかなぁ?」とちょっと不安になる。地下街や地下鉄の中で火災に遭ったら、かなり怖い目にあいそうだよなぁ・・・。でも、とりあえず、煙もないし、周りの人たちも冷静なので、不安は別の方向に。「ここであまり長い事止まっていると、お稽古に遅れちゃうなぁ・・・」。5分ぐらいすると「安全が確認できましたので、これから発車いたします」とのアナウンスが流れて、車内に安堵の空気が漂う。結局、お稽古場に着いた時には、予定の時間をオーバーしていたのだけれど、前の方のお稽古が終わっていなかったので、事無きを得た。駅じゃないところで止まったままだったら、携帯電話も通じない(一応確認したら、圏外だった)わけで、先生に遅れているという連絡をとることもできないもんなぁ・・・。
前の方のお稽古が終り、しばし、雑談などしていると、雨音が大きくなっている。わたしのお稽古が始まると、さらに雨脚がひどくなっていく。最初は「越後獅子」のおさらいで、その後「五郎」のおさらいを始めようとして、先生が「五郎だからですかね・・・」とボソっとおっしゃった。その時は思い出さなかったのであるが、後で「そういえば、『五郎』のお稽古をしていただいていた頃は、お稽古日というと、雨が降っていて、一度は土砂降りになってしまったため、お稽古場にたどりついたら、ビショ濡れだったことがあったな」というのを思い出した。今日は、前回のお稽古の最後に、先生から「次回は、『五郎』のおさらいもしましょうね」と言われていたので、それで雨がひどくなったのかなぁ? 「五郎」のおさらいが終わると、雨の音はほとんど聞こえなくなっていた。そして、新しく「供奴」のお稽古をしていただいている間に、雨は止んでしまっていた。おそるべし!「五郎」パワー*1
帰りに高円寺にまわって、師匠のお店へ。バレンタインデーのチョコレートをお届けに(お囃子の先生にも、もちろん、お渡しした)。いくつか師匠の指示を仰ぐことがあったので、打ち合わせをして、終電1本前の電車で帰宅。地下鉄の終電は出た後なので、久しぶりに、最寄のJRの駅から、夜の散歩。雨が止んでよかった・・・。

*1:この曲には「雨の五郎」という別名がある。歌詞に「雨の降る日も雪の夜も、通い通いて大磯に」というのが出て来るため、らしい