『文楽の研究』

長らく放置してあった、三宅周太郎の本を、突然思い出して、ふたたび読み始めてみる。少なくとも、三宅がこの本を書いた時代までは、文楽というのは、ごく一部の例外を除いては、血縁による伝承ではなくて、才能のあるモノが一代限りで芸を受け継いでその命脈を保ってきた芸能らしい。
かなり有名な大夫でも、「自分の子供にはやらせたくない」という考えだったという。まだ、三味線弾きの方が、親子二代とかっていう人がいたそうだ。
大夫の場合、ここまでは修行の歳月を重ねることで、ある程度誰もがたどり着けるという位置と、そこから先に進むもうとした時の、格差の激しさみたいなものが、行く手を阻むらしい。

文楽の研究 (岩波文庫)

文楽の研究 (岩波文庫)