『錦』

宮尾登美子さんの新刊です。きもの好きの方には、帯の製作で馴染みのある龍村平蔵という、機屋さんをモデルにした作品です。龍村の帯というのは、今でもとても人気があり、アンティーク店などでも、かなりの高値がついているのを見かけます。帯というものが、単なる衣料ではなく、美術品だなぁというのを、見るたびに感じます。わたしなどにはまさに「高嶺の花」なんですけど。その龍村のことを、宮尾さんが丹念に調べてお書きになった作品です。
大阪・船場のボンだった平蔵(作品中では吉蔵という名前で描かれています)が、家の没落によって、自力で織屋を立ち上げ、様々な嫌がらせにも遭いつつ、自らの思いを遂げていきます。まさに織物に命をかけたといってもよいような生き方です。
今、ちょうど前田家の大名物の茶入れの仕覆を再現する仕事に没頭し始めたあたりを読んでいます。そう言う仕事が、あのすばらしい帯にも活かされていったんだなぁ・・・と。

錦

錦とボロの話

錦とボロの話

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