「長唄 伝える心受け継ぐ力」@国立劇場大劇場

杵屋勝三郎さんと杵屋勝国さんという師弟の、芸の伝承を聞かせるというのが、主眼の演奏会、でしょうかね。去年の鶴澤清治さんの会と同じ主催者による演奏会でした。
何が一番印象に残ったか?というと、番組の最後の「抄曲集」というメドレーの中で、勝国先生が弾かれた「三曲糸の調」のお三味線でした。
これは、文楽や歌舞伎で上演される「阿古屋の琴責」の場面を長唄に写したものだそうですが、去年、玉三郎さんが歌舞伎座で阿古屋をなさった時に、勝国先生と直吉さんが出囃子(といっても、一挺一枚の演奏だから、浄瑠璃系だったら出語というところですが、長唄だとどう言うのかな?)で三味線の部分をなさったのを伺っています。この時は、玉三郎さんも筝曲の三弦をお弾きになったので、敢えてそうなさったのかな?という演奏でした(長唄三味線というよりは、三曲の三弦に近い音色に感じられました)が、今回は胡弓の部分が特に印象的でした。お三味線で、胡弓の音色をここまで表現できるのか!と、びっくりでした。勝国先生のお三味線は、いつも本当に、いろんな音色が聞けて、すばらしいなぁ!と思います。撥を撥皮にピシ!っと弾ききって当てる弾き方、柔らかに糸に撥が粘りつくような弾き方、スクイやハジキも、その言葉だけでは表しきれないいろんな音色を出していらっしゃるんだということを、改めて拝見していて思いました。それと、やはり、左手の動きが早くて正確ですね。前のフレーズが終わると、すーっと次に弾く勘所に左手が移動していく、その早くて正確なことといったら!! 神業としか思えません。
今月は、歌舞伎座の二部「大江山」の出囃子にご出勤なさっているとのことですので、楽しみです!(もちろん、タテ唄は直吉さん!)
お囃子は、喜三久先生。太鼓が最後の「船揃」だけだったのが、残念でしたが、やはりあの太鼓は喜三久先生じゃなきゃ打てないですねぇ・・・。あんな風に鼓や太鼓を打てる人、他にはほとんど、いないでしょうね・・・。