『幻視の座』

ついに読み終えてしまった・・・。
土屋恵一郎さんが、今までにご覧になったお舞台の中から選んで、閑先生に「ここが聞きたい」と思ったことを聞き出している。特に、個別の作品についての部分を読んでいると、見る側の基本になること、というのが見えてくる。
歴史や文学について知って見れば、もっともっと、その曲のステキさ、楽しさ、哀しさ、そういういろんなものを感じることができるんだな、ということを教えていただいた。
ひとつひとつの曲の背景を知ることで、その曲を作った人が何を伝えたかったのか、その能を演じている人が何を伝えようとしているのか、という「心の花」を感じとることができるのだ、ということ。
そして、それはお能に限らず、歌舞伎でも文楽でも落語でも、同じだなぁと。
「説明してくれないから、わからない」となり勝ちだけれど、知ろう、感じとろうとする努力を、見る側もしていかないと、本当の意味で、楽しむところにまでは至らないのだと思う。
今までも、なんとなくそう思ってはいたし、多少は知ろうとして勉強したりもしていたけれど、もっともっとそういう勉強を楽しもうと思う。
そして、今まで以上に、もっともっと閑先生のお舞台を拝見したいという気持ちになった。

幻視の座―能楽師・宝生閑聞き書き

幻視の座―能楽師・宝生閑聞き書き