やっと初日が出た(あくまでも、当社比だが・・・)

土曜日の幕見で「もうひとこえ!」と感じたのだが、やっと「初日が出た」と思えた今日の「娘道成寺」。その最大の原因は、実は地方にあったのではないかと、今日の舞台を見ていて感じた。三津五郎さまが「こう踊りたい!」という間やノリをやっと地方さんの隅々にまで行き渡った、という気がする。特に、「園に色よく」は、今までにくらべると、若干ノリが軽くなったように感じられ、そのことによって三津五郎さまがとてもいい感じで踊っていらした。最大の難関・乱拍子もやっとイキが合ってきた感じ・・・。ほかのところの鼓は、すんごくいい音がしてるし、ノリもいいのだから、実力が発揮されれば何の問題もないと思われ・・・。たしかにプレッシャーがかかる乱拍子だけれど、平常心でお願いします!!
今回の「娘道成寺」は、初見の日から「お、最近見ている娘道成寺に比べると、全体にノリがゆったりしているなぁ〜」と感じていた。それが顕著に現れるのが、「鐘にうらみは数々ござる〜」のくだりと、チンチリレンの合方。特に、チンチリレンは、最近、やたら早いノリで弾くのばかりが目だっていたけれど、今回ぐらいのノリの方が、聞いていて落ち着く。時に、早く弾こうと焦るあまり、間がコケている人もいたりするが、かえって聞き苦し感じられるばかりなので、その辺、再考を望む。
あと、大きく違うのが、衣裳の色。最後の引き抜きで、最初に着ていたのと同じ赤地になる。そういえば、夏に亀ちゃんが踊った時も、最後赤に戻っていたような気が・・・。
当初、見た目の心配も若干あったのだけれど(笑 古典芸能鑑賞会での「傾城」がちょっとツラかったので)道行で花道の七三で決まるところで「わ、かわいい!!!」と思った。最後まで、きれいな花子ちゃんである。化粧はもちろんなのだが、ふとした仕種に女形らしさをにじませている、とでもいえばいいのかな? たとえば、鞠唄の冒頭「恋の分け里」のところで襟元をつくろう姿とか、「梅さん」で笠をかぶって出てきてぱっと顔を上げるところとか。
クドキも、かわいらしい色気が感じられて、これはこれでひとつの道成寺の行き方だなぁと思う。この辺は、常の道成寺とは振りがだいぶ違っている(と思う)。
とにかく。やっと三津五郎さまに期待していた道成寺を見せていただくことができて、うれしい!!!