萬斎解体新書其の拾四「人形」@世田谷パブリックシアター

前回の「解体新書」は、遅刻しちゃったので、今回はがんばって早めに赤坂を出ることに。乗り換えもスムーズで、ほぼ30分前に三軒茶屋に到着。
今回は、ゲストが桐竹勘十郎さん! 今月の「女殺油地獄」かっこよかったなぁ〜!なんて思いつつ、会場に入ると、ステージには、すでに3体のお人形が。1体は着付けがしてない立ち役、あとの2体は娘とお多福みたいなお顔のお人形。
最初に萬斎さんが登場して、今日の趣旨をお話してから、ゲストのお二人を呼び込む。勘十郎さんは紋付袴じゃなくて、黒子装束。もう一人のゲストは生命科学が専門の学者さんであった。
話を交えながら、人形を遣った実演も。衣装をつけていない人形(とりあえず「骸骨」と呼んでいるけれど、いい名前があったらつけてくださいと、勘十郎さん)を最初に遣ってみせてくださると「なるほど、実はこういう風に動いているんだ」と。その後、娘のお人形、そしてお多福ちゃん(「釣女」の醜女という名前だそう)を遣ってみせてくださる。醜女の動きを見た萬斎さんが、狂言の「武悪」の表と厚板をつけてちょっと動いてみせてくださった。表は、醜女ちゃんと造作や雰囲気がやっぱり似ている。動き方も一番根っこのところには共通するものがあるように見えた。
ここまでは、三味線も語りもなしで進めてきて、いよいよ太夫さんと三味線さんが登場して、「千本桜」の渡会屋・幽霊の知盛を演じてくださる。いやはや、萬斎さんの発案によるピンスポットで人形だけをクローズアップするという試みもあいまって、人形に命が宿ったかのようなすばらしい知盛だった。そして、勘十郎さん発案のエア人形で、同じ幽霊のところをやってみせてくださる。人形の頭の代わりの勘十郎さんの白手袋を、最初のうちは意識してみていたのだけれど、だんだん人形遣いさんたちの動きが舞踊を見ているように感じられるように。後で「人形がない方がしんどい」とおっしゃっていた。人形がなくても三人の動きが一つになっていて、はぁすばらしいなぁと。
今回は初の試みとして、ここで休憩をはさんで、新しく作曲もされたという「景清」で、人形と萬斎さんのコラボで演じるという本邦初演のパフォーマンスを披露。人形の衣装と萬斎さんの衣装がお揃いだったというのも、ちょっとしたサプライズだった。萬斎さんの舞は、狂言の舞を超えて時にお能の舞のようでもあった(身体の使い方のベースは、もちろん狂言だけど)。人形が萬斎さんに負けないスケールで舞うのは、すごいなぁ〜!と感動。
学者の先生も、難しいことをわかりやすくお話してくださって、よかった。