文庫の寿命

相変わらず、『読ホリデイ』を読んでいる。それで気がついたのが、現代教養文庫って、いい文庫だったんだな、ということ。
この文庫が生きていた頃、全部というわけではないのだけれど、気になる文庫だった。かなり通俗的な内容のものもラインナップされていたけれど、その一方で、古典の注釈付のシリーズや、シブいミステリー、田山花袋の東京モノなど、気になるものも結構あった。当時からこの文庫の決していい読者ではなかったし、現在、我が家にもたいしてこの文庫はないと思う。でも、都筑さんがたびたび『読ホリデイ』の中で取り上げているのを読むと、わたしの勘もまんざら外れではなかったようだ。
それにしても、現代教養文庫ばかりでなく、直近ではウェッジ文庫、以前だと福武文庫や旺文社文庫といった、オリジナリティのあるラインナップの文庫が姿を消して行くのは、残念だ。そして、存続している文庫でも、絶版サイクルがかなり早くなっているので、油断はできない。
結局は、われわれ読者が、こういう文庫がこれからも生き残っていけるように、気になった本は買って、応援して行くしかないのだろうな。それと同時に、出版社には、もうちょっと我慢してもらえるといいのだけれど。

東京の三十年 (岩波文庫)

東京の三十年 (岩波文庫)