社会人のための歌舞伎鑑賞教室

去年は、壱太郎くんと隼人くん、二人で解説を担当した鑑賞教室。
今年は、壱太郎くんがメインで、その登場前に、巳之助くんと隼人くんらによる、「鳥居前」の一部を幕開けとして見せる。
ホリゾントに鳥居を投写で浮かび上がらせ、梅の木が一本、というシンプルな道具立て。静御前が鼓と一緒につながれている。
そこへ花道から巳之助くんの忠信が助けに現れ、カラミと立ち回りを見せる。ここで、定式幕を引いて、壱太郎くんが登場する。
ここで鳥居前を見せて、歌舞伎の荒事を見せ、川連法眼館の前段のストーリーを見せておく、というのは、いい趣向だ。
壱太郎くんが花道の揚幕の説明をすると、一般のお客二名が揚幕から登場する。これは、かなり羨ましいぞ。
そのあと、黒御簾の中を覗かせたり、再び忠信の巳之助くんを呼び込んで、立役の見得の仕方を体験、巳之助くんに狐六法で花道を退場させる。
歌舞伎座が休場中なので、子供歌舞伎がない今、大役を簡略版とはいえ、演じるチャンスを若手に、という意味でも、巳之助くん、隼人くんにとっては、いい修行の場になっている。
続いて、隼人くんを呼び込んで、女形の歩きを体験させて、体験は終了。隼人くんと一緒に、セリで下りるというのも、大サービスだなぁ。今回の体験は、相当、羨ましい!
その後、スライドをつかっての、「義経千本桜」のストーリーを紹介。壱太郎くん、口跡がいい。
幕間をはさんで、「川連法眼館」の上演となる。
壱太郎くん、ポスターより、生で見る舞台の静御前方が、個人的には好みだった。
翫雀さんの忠信は、本物の忠信と、狐忠信の肚の違いがよかった。
今まであまり意識していなかった法眼の妻が自害しようとする理由、今回はじめて「あ、そういうことか」と腑に落ちる。今まで、この件は、全然、気にしていなかったなぁ。
壱太郎くんの静御前が初音の鼓を打つところ、手の動きが綺麗だなぁ、とつい、そういうところに、目がいってしまうのは、性なので…。
狐の本性を顕してからは、先月の亀ちゃんのがよかったので…。
とにかく、巳之助くんに今月は頑張ってもらいたい!

義経千本桜 (橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻(2))

義経千本桜 (橋本治・岡田嘉夫の歌舞伎絵巻(2))

義経千本桜 (歌舞伎オン・ステージ (21))

義経千本桜 (歌舞伎オン・ステージ (21))

ちなみに、いろいろと大人の事情もあるのだろうけれど、鑑賞教室だけに、宙乗りを見せた方が、初めて歌舞伎に触れる学生たちには、インパクトがあって、よかったのにな、と。まぁ、贅沢な注文なのは重々承知之助ではあるけれど…。