丸の内で孝太郎さんのお話を聞いた

震災の影響で中止になった「国立劇場in丸の内カフェ」の孝太郎さんの回が再登場、ということで、夜の丸の内へ。
節電のため、平日はクローズしているとのことで、薄暗い1階の様子にちょっと戸惑ったが、すでに並んでいる人がいたので、中に入った(土日は営業しているそうだ)。
カフェのイベント担当者がちょっとミスをしてしまったが、孝太郎さんのナイスなリカバリーで、和やかに始まった。
テーマは、役者が語る歌舞伎の魅力ということだったが、女方の典型的な役のを、孝太郎さんの写真を見ながら、それぞれの役の特徴を、衣裳・鬘・化粧などの違いの説明を交えて、孝太郎さんがお話される、というのが全体の中でメインになった。
一番へぇ〜と思ったのは、舞台にいる時間の長さによって、鬢付け油の硬さを変えるというお話。長い時間舞台に出ている時は、硬い鬢付け油で下地をつくるのだそう。
ちなみに、玉三郎さんは、お化粧がとても早いそうで、下地を作るのには時間をかけるけれど、その後はサササとなさる、というお話に、聞き手の織田さんも驚いていた。
仁左衛門さんは、千穐楽まで毎日でも、芝居をよくするために試行錯誤をなさるそうで、「あそこはこうする」と言ってくれればいいのだけれど、何も言わずに変えることもあるので、そうすると着いて行くのが大変、とおっしゃっていた。
織田さんがそれに関連して、3月の「絵本合法衢」の時も館内で流れているモニターの映像を収録しておいてほしいと言われたおかげで、公式の記録映像を収録できなかったけれど(普通は中日頃に撮るのでそこまでいかずに中止が決定したため)、資料としては映像が残った、と。
公演中止の決定を伝えに楽屋を訪れたら「え、今日もさっきダメだししたんやけど」とおっしゃっていた、と…。
また、團十郎さんが病気休演された国立劇場の「太功記」の時に、座組の中で代役を決めていかなくてはならなくなり、十次郎をすることになった時の戸惑いやご苦労のお話も興味深かった。その時に、芝翫さんから「私だって立役をやることになったんだから、あなたもやりなさい」と説得されたそうだ。
そもそも、孝太郎さんが女方の道を進むことになったのは、芝翫さんのアドバイスがあったからなのだそう。
孝太郎さんは、とてもフランクで、優しい方なんだなぁ、と思った。
ちなみに、国立劇場開場45周年記念公演を1か月延長して、来年4月に「絵本合法衢」を再演するとのこと。今年の3月は、チケットを持っていた日が、中止後の日程だったので、これは嬉しい。
そうそう、丸の内カフェの前に牛のフィギュア?がいるのだけれど、夏仕様になっていた。

花のひと―孝夫から仁左衛門へ

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