六代目中村勘九郎襲名披露興行の演舞場千穐楽。昼の部を見るのは今日が最初で最後だ。
「鳴神」。七之助くんの絶間姫が綺麗で、色気もあって、みずみずしい。セリフを聞いていると時々ふと、芝翫さんのセリフまわしを思い出すところも。やはり、血は争えないなぁ。橋之助さんのお上人さまもスケールの大きさがあった。「土蜘蛛」。三津五郎さまの頼光、ステキだ。間狂言吉右衛門仁左衛門ご両人が揃い踏みで、そこに芝雀ねえさんと勘三郎さんも加わるという豪華版。まさに襲名披露のご馳走だねぇ。石神ちゃんも可愛らしかった。新勘九郎さん、前シテの不気味さが、その出からあたりを覆いつくす。頼光と入れ替わって一畳台に上がるところ、音もさせずすーっと飛び乗るのが、いかにも物の怪らしくて、背筋がぞっとした。「河内山」。仁左衛門さんの河内山は、とにかく愛嬌があって、いい男。招待を見顕されての啖呵も気持ちいい。
夜の部は、初日に一度見ていたので、どんな進化が?!という期待に違わぬ「鏡獅子」の弥生だった。踊り込んだことで隅々まで心が行き届いていた。小山三さんもお元気に千龝楽を迎えられていて、よかったよかった。「鈴ヶ森」は、勘三郎さんの若々しい権八と、吉右衛門さんの貫禄が頼もしい長兵衛親分の息がぴったりと合って、いいものを拝見した!という満足感。「口上」は、だいたい皆さん同じ内容だったけど、無事に千龝楽を迎えたという感慨が滲み出るいい口上だった。勘三郎さんが「三津五郎が」と呼び捨てにしてあわててフォローするという、幼馴染なんだなぁと改めて感じさせるハプニングもあり。「ぢいさんばあさん」。10年後ぐらいに、また三津五郎さまの伊織さまに会いたい。

夜中にジャムを煮る (新潮文庫)

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読了しちゃったので、帰りにブックファースト
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