時期はずれの嵐の中、無事、第五期歌舞伎座杮落とし公演を見てきた。
外観も、劇場の中の雰囲気も、以前の歌舞伎座を上手に継承していて、どなたかが「洗い張りをしたよう」と表現されていたが、まさにそんな感じだ。そして、一番心配だった音響が悪くなかったことに、ほっと一安心した。
三部は幕見に入れれば見て帰ろうと途中で思い立ち、二部終演後すぐに並んだのだが、「盛綱」は立見になりますと言われて、万が一「勧進帳」までずっと立ち通しだったら…とひよってしまった。
わたしの中では、やはり一部の「お祭」が一番心に残っている。三津五郎さまの粋で鯔背な鳶頭が「こんなに盛大なお祭りになって、さぞかし…」というセリフでうるっときて、その後、呼び込まれて花道を勘九郎さんに手を引かれて七緒八くんが登場したところで、こらえきれず…。七之助さんがまるで母のような眼差しで見守っていたこと、勘九郎さんのキレのある踊り、三津五郎さまらしいお面を被っての踊りなどなどを見ながら「あー、ここにあの方が…」などと詮ないことを考えてしまった。
三部の「勧進帳」は、勘九郎さんと傅左衛門さんを見ながら、時々、菊五郎さんの冨樫と梅玉さんの義経も、という見方になってしまったw。強力が義経に似ている!と冨樫に留められた後、いつでも斬りかかるぞ!という構えをしていた勘九郎さん、菊五郎さんのスキっとした冨樫、品のある梅玉さんの義経、見応えがあった。そして、傅左衛門さんの鼓がこれまたキレキレ。千穐楽まで我慢できるかなぁ…。
二部では、「弁天小僧」の勢揃いだけとはいえ三津五郎さまの忠信のステキなこと…。菊五郎さんの弁天は、さすがに以前のような訳にはいかないよね…。「将門」は、歌舞伎座では初めて見たような気が。玉三郎さんの衣裳センスは、素晴らしいね(あ、一部の「陣屋」の相模の裲襠も!)。常磐津がちょっと私的には???ではあった。
いろいろと言いたいこともあるけれど、やっぱり歌舞伎座っていいなぁ〜と思った一日だった。