楽しいよ❣️五代目江戸家猫八襲名披露興行

画像

新宿末廣亭四月上席夜の部

  • 「出来心」左ん坊
  • 「寄合酒」伊織
  • ニックス
  • 真田小僧」一琴
  • 「看板のピン」扇好
  • 鏡味仙四郎・仙成
  • 「鮑のし」一之輔
  • 時そば」さん喬
  • 橘之助
  • 花筏」市馬
  • 仲入り
  • 披露口上 市馬・さん喬・正楽・猫八・橘之助・扇遊・菊之丞(上手から)
  • 祇園会」圓太郎
  • 「悋気の火の玉」菊之丞
  • 正楽
  • 「蜘蛛駕篭」扇遊
  • 猫八

仲入り前の一之輔さん、さん喬さん、橘之助さん、市馬さんという流れが寄席っぽくて、いいものを見られてよかった。

口上の最後が会長の市馬さんで、相撲甚句が聞けたのも嬉しかった。司会の菊之丞さんから三本締めの音頭をと指名された市馬さんが隣の兄弟子・さん喬さんにさっとお願いするのとか、ほんと、いいなあ。

正楽さんの紙切りでは、「ウグイス」というお題を二人のお客さんが頼んだら、ちょっと声を上げるのが遅かったお客さんが「猫」に変えたら「猫と小猫と猫八でいいですか?」と。実は、全然関係ないお題が出ても、全部に猫八さんを入れて切っていらっしゃるのがありがたい、と主任で上がった猫八さんが。

今回は新・猫八さんの強い希望に市馬会長が応えて、口上に紙切り林家正楽さんと音曲の橘家橘之助さんが並ぶというのが画期的なこと。正楽さんが「毎朝、起きたら必ず江戸家猫八って言ってください。皆さんが言ってくだされば猫八さんの心に届きますから。それで、寝る前にも江戸家猫八って言ってください。皆さんの言葉がどんどん広がって、世界中広がるでしょう」という意味のことを仰ったのもよかった。

他にも、五代目のお祖父さんの三代目・お父さんの四代目の猫八さんとの思い出を皆さんが話していらして、みんなで見守っているよ、という温かい気持ちが伝わってきて、ジーンときた。

もちろん、猫八さんの主任の高座、普段はそこまで聞けない物真似をしている動物とのエピソードや飼育員さんや学者さんとのお付き合い、お父さんから教わったことなども聞くことができて、へぇ〜!とかなるほど!と笑いがいっぱい。お家芸のウグイスは、何度聞いても聞き惚れる。

そうそう、噂に聞いていた口上以後のゴリラの絵の後ろ幕がとてもカッコいい!ので、気になる方は、猫八さんのTwitterアカウントへ見に行ってください。

100号で終わりと発表されていた歌舞伎 特選 DVDコレクション、続刊が決まったらしい

先日、Twitterで流れてきた、101号以降のラインナップが最近の号に載っていたという

アシェット・コレクションズ・ジャパンで刊行中の『歌舞伎 特選 DVD コレクション』シリーズ。てっきり100号で終わるのかと思っていた。

というのも、松竹の歌舞伎美人に61号から100号までのラインナップが発表された時に、「全100号を予定」と書かれていたからだ。

www.kabuki-bito.jp

最近の号を買っていないので、実物を見て確かめることはできないし、未だ正式な発表もない。ということで、

というアサヒナさんのTweetを引用させていただきました。

パートワークものには全く疎いので、こういう延長ってよくあるのかは知らないけれど、売れ行きが良いということなんでしょうね。

とにかく、早くWebでも発表してください、アシェットさん!

 

2023/04/05追記

と書いた翌日、歌舞伎美人サイトに101〜150号のラインナップ情報がUPされた。

www.kabuki-bito.jp

個人的には、かなり好みのラインナップで嬉しい!

今日届いた本、3冊。

今日、届いた本を紹介する。

二代目金馬と十代目小三治の「死神」の速記が収録されている、というのをTwitterで教えていただき、購入した。

歌舞伎や落語と縁の深いお地蔵さんやお稲荷さん、七福神、エエジャナイカ、霊験などがなぜ、どのように流行して、また忘れ去られたのか? そこに庶民の願いや欲望が隠されているのではないか?と思い、読んでみたいと思ったが、版元長期品切れだった。この度宝蔵館文庫として復刊されたので、これを逃しては!と購入した。

市川市東山魁夷館 開館15周年記念特別展の公式パンフレット。歌舞伎座明治座の緞帳とその原画、芝居絵、歌舞伎の名優と日本画家の交流がまとめられていると、これもTwitterで展覧会に足を運んだ方が教えてくださったので、購入。

あともう一冊、保さんの本が届くのを待っているのだけれど、版元取り寄せなので、果たして手に入るか? ダメなら、古書店で探すかなぁ…。

いよいよ収納場所が無くなってきたので、なるべく本を増やさないようにしようとは思っている。だがしかし。紙の書籍は、今後、資材の高騰によって、重版がますますかかりにくくなるだろうと言われている。「これは!」とピンときた本は買っておかないと、という本を買う口実としてはこの上ない情報を知って、ついタガが緩んでいる。

図書館で借りられる本ばかりではないし、すぐに借りられるとは限らない。それでは、電子書籍で出ているものはそっちにしようか?と試してみているが、読んでも紙の本以上に身につかない、というのが今のところの実感。だから、何度も参照しそうな本は買うしかない、ということで…。

鳳凰祭四月大歌舞伎を堪能した

鳳凰祭四月大歌舞伎初日。

www.kabuki-bito.jp

昼の部は「新・陰陽師」、夜の部は「与話情浮名横櫛」と「連獅子」。

「新・陰陽師」は10年前に幸四郎(当時は染五郎)、松緑らによる上演で、今回は猿之助脚本・演出による別バージョンだ。

若手の役者たちそれぞれに見せ場を作っていて、さまざまな古典の演目からの引用がふんだんに用いられている。その中でも福之助、尾上右近、鷹之資の活躍が印象的。

福之助は、先月の「髑髏尼」でも難しい役柄を見事に演じていて驚いた。今月の俵藤太役も初日だとは思えない。鷹之資は見事な立廻りを見せてくれた。右近は初の敵役に挑戦して、スケールの大きさが感じられた。

女方では、久しぶりに児太郎が見られて嬉しい。壱太郎の滝夜叉は妖しい美しさ。

特に印象に残った場面というと、右近と壱太郎、二人が絡み合う花道の六方。古典の手法を使いながら、新たな引っ込みの形!と。個人的には、ワンピースのボンちゃんの引っ込みに匹敵する。

事前のパブでは隼人と染五郎が主役とされていたけれど、蓋を開けてみたら、意外にこの二人の印象が薄かった。

猿之助蘆屋道満が最後に全部持っていくのは、想定していたが「そうきましたか!?」という驚きが用意されているのも、らしいといえばらしいけど…。

初日ということもあるのだろうが、あちこちに散りばめられた入れ事がまだとってつけたように感じられるのは、これから修正されるなり、し慣れることで気にならなくなって行くなりするのだろう、多分(とはいえ、客席には受けてはいたが…)。

「新・陰陽師」は、当て書きの芝居だ。かつての歌舞伎は座付作者が一座の役者のニンや持ち味を活かす台本を書いた。今回の脚本は、座組の役者たちそれぞれのことをよく知る猿之助だからこそ、のもの。そろそろ、真剣に座付作者を育てることを考えなくてはいけないのではないだろうか…、

 

夜の部は、仁左衛門玉三郎による「切られの与三」から。

木更津の見初め。花道七三での与三郎は最初「あれ?」と思ったが、芝居が進むにつれてどんどん若々しく色気に溢れた若旦那になっていって、仁左衛門の芸の力を改めて感じた。

続く赤間別荘は、落語と違って初めての逢引きで源左衛門に踏み込まれる。見初めからここまで、出番は短いが、橘太郎の幇間がいい仕事を見せてくれた。

源氏店では市蔵の蝙蝠安がいい。ことさら汚ない作りにはしていないのだけれど、セリフや体の持ち味で安のだらしなさ、小狡さが出ている。多左衛門の左團次が体調不良で休演、権十郎が代役、また替りで見初めの鳶頭は坂東亀蔵に。

ゴールデン・カップル仁左・玉の芝居を手練れの脇役がしっかり支えている。

続いて、松緑・左近親子の「連獅子」。

松緑は父・初代辰之助が早逝したため、親子での「連獅子」は本興行では初めてだという。肉体的にキツい澤瀉屋の振りとはまた違ったキツさがありそうだと、見ていて思った。そして松緑家は役者の家であると同時に、踊りの家でもある、ということを改めて意識させられた。

とにかく左近の仔獅子の果敢に攻めていく姿勢がいい。日々の進化が楽しみだ。それと、手指の美しさが目を引く。松緑の親獅子は、まさに千尋の谷底へ我が子を突き落としている感じ。厳しさと我が子への慈しみ。幕見があれば、通い詰められるのに…。

「わが心の歌舞伎座」を見て考えた

第五期歌舞伎座開場十周年を記念して、第四期歌舞伎座閉場に際して製作されたドキュメンタリー「わが心の歌舞伎座」先行上映を見てきた。

千之助、莟玉、歌之助のトーク付き上映ということで、チケットは完売とのこと。

 

最初にトークがあり、それぞれが前の歌舞伎座の思い出などを語る。千之助、歌之助のお二人はおじいさまとの思い出が多かった。仁左衛門さんが歌舞伎座の楽屋で意外なことをなさっていたこと、閉場式の後で二人とも(他の人もやったらしいが)自分の誕生日と同じ座席の番号表示プレートを持ち帰ったこと、照明室や鳥屋から先輩の芝居をぎゅうぎゅうになりながら見ていたことなどを語った。

千之助、莟玉、歌之助

記者のフォトセッションのあと、観客向けの撮影タイムも設けられた。

 

引き続き、本編上映開始。

www.shochiku.co.jp

11人の役者さんが、それぞれ思い出深い場所で歌舞伎座への思い、歌舞伎への思いを語り、舞台の映像も流れる。また、3階ロビーに写真が掲げられている思い出の名優たちの中から第四期に活躍した役者の記録映像も。

今回、見直して感じたのは、名優と呼ばれる役者の芝居や踊りはたとえ映像であっても、そのすばらしさがわかる、ということ。

もう一つ、丸本物の映像が多いと感じた。これは現在の東京での状況と較べると、大きく異なるのではないだろうか。もちろん、ここ3年ほどはコロナ禍でのさまざまな制約があるため、出せる演目が限られていた影響はあるだろう。

そうであるならば、制約が緩くなってきた今こそ、丸本物の通し上演を考えるべき時がきたのではないだろうか。忠臣蔵、菅原、合邦、加賀見山、先代萩などなど。若い役者たちから「おじさま」と呼ばれる世代による通し狂言を出して、若手たちが間近で見て体験する機会を作っておくべきだろう。また、観客にも、みどりで見ていた演目の全体像をしってもらい、代々伝わってきた芸を見せておくことも大事だ。

国立劇場が建替えのため長期休場する。そうなると松竹系の劇場で積極的に取り組んでいかないと、歌舞伎のレパートリーがますます減ってしまう。

上演が途絶えた演目の掘り起こし、現行演目の洗い直し、新歌舞伎、スーパー歌舞伎、新作、舞踊、みどり狂言、さまざまな選択肢があるからこそ、歌舞伎の世界は豊かで飽きることなく続いてきた。

その時代の客の嗜好に合った歌舞伎はなになのか? 役者の持ち味、ニンに合った芝居とは? それを見つけるためにも、長く受け継がれてきた演目を次の世代に渡すことを疎かにしてはならない。

今こそ「修禅寺物語」や「頼朝の死」を出せばいいのに…

曇りで湿度が高い。

昨日、途中で放棄したルーティンを含め、粛々と。

靖国』精読の続き。ここでフーコーの『監獄の誕生』が出てくrのか!?、探訪記者といえば松崎天民だよな、などと思いつつ。

「鎌倉殿の13人」を見る。ラストに出てきたあの老女は、え!?草笛光子なの???となった。すごいな、あの迫力でをだしつつ、下品にならないって。歌舞伎界隈の方がTwitterで「今こそ『修禅寺物語』や『頼朝の死』を出すべき!」って言ってるの、ほんとそうだと思う。よだいめの桂が見たいなぁ…。

enmokudb.kabuki.ne.jp

急遽、歌舞伎座に行ってきた

天気予報では雨って言ってなかったっけ?といういい天気も、徐々に雲が増え、夜には雨が降ったり止んだり、に。湿度が高いのか、蒸し暑かった。

朝10時過ぎ、今日からの公演再開についてのお知らせがTwitterに流れてきたので、確認する。第二部。え、幸四郎さんの代役がよだいめ??? 第三部はもう大々的な代役とそれに伴う玉突き代役が…。團子ちゃんの代役だけじゃなかったのか!? 幸四郎さんは濃厚接触者とのことなので、陽性にならなければ千穐楽前に復帰できるね。ということで、その場ですぐにチケット松竹でポチッと。

第二部】
安政奇聞佃夜嵐』
  青木貞次郎 市川 猿之助
     

 

【第三部】※一部演出を変更し上演いたします
弥次喜多流離譚
  弥次郎兵衛 市川 青虎
  伊月梵太郎 市川 猿弥
  五代政之助 中村 隼人
  娘オリビア 市川 笑三郎
  娘お夏 市川 笑也
  下剃虎奴 市川 猿四郎
  読売屋文春 大谷 廣太郎
  芳沢綾人

市川 門之助

リハビリの進捗具合を確かめてみようと、久々にきものを着てみた。納涼だし、お天気も崩れるかも?ということで麻の綛のきものに帯は紙布の開き名古屋帯。ダメそうだったらサクッと洋服で出かけるつもりだったが、まあまあ帯も普通に結べた。ってことはそれなりにリハビリの成果は上がっているということだな。

第二部の「佃夜嵐」。よだいめ、ちょっとセリフが??というところもあったけれど、ほぼ出ずっぱりでセリフも多いのに、すごいなぁ…。歌舞伎役者のポテンシャルの高さを改めて感じた。初日に見たきりだったのだけど、幸四郎さんとよだいめの持ち味の違いがよくわかった。幕間20分で砥粉を落として白塗り(しかも手足も綺麗に塗らないと!)な「湯屋番」。よだいめの踊り、ますます素晴らしくなってる!!! 笑野さんのなめくじ、代役初日とは思えないのは、さすが。あー、でも團子ちゃんのなめくじがどう進化したか見たかったなぁ…。

第三部。青虎さんの弥次さん、下敷きになるお芝居がある場面が多いとはいえ、いきなり弥次さんって、相当なプレッシャーがあるはずなのに、よだいめとの掛け合いも軽妙で、楽しかった。本役では染五郎くんと團子ちゃんが早替りで演じていたオリヴィア・政之助、お夏・梵太郎を笑三郎・隼人・笑也・猿弥という皆さんの一役ずつに。一番「それ、どうなるんですか???」だった猿弥ちゃんの梵太郎には、のけぞりましたwww。すごいわ、この配役を決めたであろうよだいめもよだいめなら、この形に持ってきた猿弥ちゃんも猿弥ちゃんだわ(←褒めてます)。猿四郎さんが梵太郎の顔を見て吹いちゃってしばらく復帰できない、というハプニングが…www。その他、セリフに詰まったところを周りの皆さんがフォローしてたり、アドリブと思われるセリフも結構あった。途中、花道から弥次喜多とオリヴィアとお夏が出てくるところで喜多さんが「俺は、朝から働いてるんだよ〜、もう疲れちゃったよ!!」と。演出の一番大きな変更は、踊り比べの場。供奴とかがなくなって、笑也さんと笑三郎さんが二人立ちで「藤娘」をたっぷり踊るという。当然、見た目は弥次喜多の拵えで小道具もそれに合わせたものだけど、踊りは本息。眼福でした。寿猿さんのすっぽんの独白は、竹ばぁのことを暗示するようなワンピースのBGのかかる前にセリフが足された? 歌舞伎座のオークションは隼人くんの綾人が門様に変わったけど、あとはそんなに大きな変更はなかったかと。幕切れは4人宙乗りどうするんだ?と思ったら青虎さんと猿弥ちゃんも飛びました(もちろん、隼人くんも)! 役者さんももちろんだけど、衣裳さんや床山さん、小道具さん大道具さん、地方さんたちもさぞかし大変だったのでしょうが、それでも幕が開けられるという歌舞伎の底力を見せていただきました!ありがとう!!という気持ちを込めて拍手してたら、なんと鳥屋から弥次さん喜多さんが\(^o^)/ 花道を歩いて、付け際まで行って、よだいめがご挨拶。「これからは、こんなことがしょっ中あると思います。お目まだるこしいところも多々あったかと思いますが、芝居は開け続けなければいけないんです。開ける以上は私たちは皆さんに日頃の憂さを忘れてもらえるようにします。だから、どんどん宣伝してください!今日、自宅で待機している役者たちの気持ちもここに一緒にいます。お時間とお気持ちに余裕のある方は、自己責任でいらしてください。」といった趣旨のご挨拶。その間、青虎さんは客席をじーっと見回していて、最後に手を振ってくれた。出てくるとは思ってなかったので、ほんと、びっくりしたわ…。松竹の戸部さんが大間にいらしたので、思わず「開けてくださって、ありがとうございます!」と言ってしまった。

帰宅してから猿三郎さんのブログを拝読したら、昨日、一部が終わった後、通しではないみたいだけど、全員集合でお稽古したそうで、その時には鬘も衣裳もできていた、って。素晴らしい! だって團子ちゃんの衣裳と鬘を猿弥ちゃんが…って大変だよ〜。

とにかく、團子ちゃん、染五郎くんの早い回復をお祈りします! 幸四郎さん、ご無事で早く帰ってきてね〜!!