宮部作品と少年

イイお天気続きに誘われて、自転車で仕事場へ。しかし、帰る頃には冷え込みが厳しく「このままでは凍えてしまう・・・」と思っていたら、友達から晩御飯のお誘い。焼酎お湯割り一杯と軽く晩御飯で、すっかり暖まってしまう。なんと、経済効率のよい体!
いつもの本屋をチェックして、酔いもさめたところで、自転車に乗って帰宅。

一昨日から読み始めてしまった宮部みゆきさんの『理由』(朝日文庫)の残りを一気に、と思って読み始めたのだが、何時の間にか居眠りモード。3時過ぎに気がついて、それから今度こそ、本当の一気読み。
宮部さんは、一作ごとにどうしてこんなに、新しい仕掛けをしっかりと消化しきった形で出せるのだろうか?
最初の2章分くらいは、主人公が誰なのか、これはどういう形をとって展開していくのか、よくわからないまま、気がつくと宮部さんの紡ぎ出す物語の世界にどっぷりと浸っている。そして、仕掛けが見えてくる(仕掛けというと御幣があるのだが)。

解説を担当された重松清さんが、登場人物一人一人について、短編が読みたくなるという意味のことを書かれているが、まさにその通り。非常に贅沢な緻密に書きこまれた世界だ。
この作品を読んでいて、ふと思ったのが、宮部さんの作品の中で、“少年”が果たす役割だ。
模倣犯』もそうだし、『我らが隣人の犯罪』や『魔術はささやく』『龍は眠る』もそうだったな、と漠然とだが感じていたことへの、確信めいたものを得た。宮部さんは、少年の眼と言葉を通して、社会の中に潜む矛盾や過ち、普通の大人が見過ごしてしまうような歪み、そういったものを痛烈に描き出そうとしているのではないだろうか。

このことについては、またいつか改めてきちんとした形で書きたいと思う。