吉右衛門さんに尽きる歌舞伎座昼の部

朝は、まあまあ晴れて、東京の最高気温は26度。夕方ににわか雨。

歌舞伎座の四月大歌舞伎昼の部を見物。
演し物は、「国性爺合戦肥前平戸海岸の場から元の甘輝館の場までと、「慣ちょっと七化」。

国性爺合戦」は、和藤内に吉右衛門さん、錦祥女に雀右衛門さん、渚が田之助さん、老一官が左團次さん、五常軍甘輝に富十郎さんという配役(甘輝は、仁左衛門さんが病気休演のため、代役)。
近松浄瑠璃を、江戸歌舞伎の荒事がうまく取り込んで、当たり狂言とした作品ということで、話の筋はちょっと分かりにくいところを、後半の華やかな舞台面と歌舞伎ならではの舞台転換が補っているように感じた。
和藤内の吉右衛門さんの大きさが目立つ。雀右衛門さんは、相変わらずエネルギッシュで「100歳まで舞台に立っていそうだね」と、ご一緒した歌舞伎の友・Kさんと意見が一致。

「慣ちょっと七化」は、鴈治郎さん七変化の舞踊。その七曲とは、長唄「傾城・座頭」、清元「業平」、長唄「相模蜑」、常磐津「橋弁慶」、長唄越後獅子・朱鐘馗」。
初演時にどのような形で上演されたのか、よくわからなかいが、猿之助さんばりで、早替わりとは言わないまでも、曲と曲との合間のつなぎにもう一工夫欲しい。
変化舞踊としての面白味が、あまり感じられなかった。

このところ、歌舞伎を見ていていつも思うのが、地方さんにもっと頑張っていただきたいということ。下座も含め、このところちょっと地方さんのレベルが下がっているように思ってしまうのは、気のせいだろうか? そんな中では、「朱鐘馗」の幕外の大薩摩の三味線を弾いていらした杵屋巳吉さんの、師匠ゆずりの鮮やかな撥さばきとよく響く音色が、耳に残った。