またぜひ聞きたい立川談春さんの独演会(1)

昨日の立川談春さんの独演会は、わたしにとって寄席以外で初めて聞く落語だ。
築地本願寺の中にあるブディストホールという、定員150あまりのこじんまりとしたホールが会場。

最初は「代書屋」という大正時代あたりが舞台の噺。寄席に比べると、まくらが長いのは、持ち時間の制約がないためもあるのだろうか。昔の職人さんについて、話しているうちに、花禄さんの話題も飛び出し、客席は爆笑。「これまでもやりたいと思っていた噺だが、きちんとやろうと思うと、むずかしい噺なので、なかなかできなかった」とは、話し終えた後でのご本人の弁。仕事に行くのに履歴書が必要だが、文字が書けないのでやって来た、という客は、そもそも履歴書のことを全く知らないし、名前そのものも間違えている。自分の生年月日や住所を問われて、すんなりとは答えられない客に「いい加減にしてくれ」と何度も言う代書屋のオヤジに思わず同情してしまった。

そのまま続けて二番目の「蜘蛛駕篭」につなぐ。この噺は、談春さんにとっては、”伝説の名作”だという。それは、談志師匠が小ゑん時代に、第1回東横落語会の前座で演じた噺で、それを聞いていた安藤鶴夫さんが「このまま伸びて行けば、大変な噺家になる」と絶賛した。その批評のコピーを寄席の楽屋中に談志師匠が配ったものだから、圓生師匠が安鶴さんに「あんまり若い者を手放しでほめないでください」と申し入れたことがきっかけで、ひと悶着あったという、曰く付きの噺なのだそうだ。駕篭かきのことを”雲助”というのは知っているが、なぜこの噺の題のくもは”蜘蛛”なんだろう?と思っていたら、下げを聞いて納得。
「蜘蛛駕篭」が終わった後、なぜ今夜の演し物に「紺屋高尾」を選んだかという解説?として、「笑芸人」10号の「ベスト100」で33位に、自分の「紺屋高尾」が入っていたからというのを、他にどんな人のどんな噺がランクインしているかと比べながら、面白おかしく説明する。
このまま「紺屋高尾」に突入してしまうのだろうか?と思っていたら、休憩が入った。